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各球団の1位指名は?「超目玉」創価大田中をめぐる戦略に大注目!

ドラフト展望「各球団動向編」

■12球団の1位指名は?

 ドラフトにおいて、即戦力投手の補強は各球団にとって最大のポイントのひとつである。今年のドラフトには、その中でも突出したポテンシャルを誇る「超目玉」といえる投手が存在する。田中正義(創価大)だ。すでに「球界の至宝」と評されるこの最速156キロ右腕に、果たして何球団が競合するのか。または、競合を避けて他の選手の「一本釣り」を狙うのか。例年以上に各球団の戦略が色濃く表れるだろう。そこで本稿では、各球団の補強ポイントやチーム方針に触れつつ、1位指名を予想していきたい。
 
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 前述の田中を巡っては、少なくとも4球団以上の競合は避けられないだろう。チーム防御率、年間順位ともにリーグ最下位に沈んだオリックス。エース・則本に続く先発陣の柱を担える存在を求める楽天。また、先発陣の底上げを狙うロッテや、「その年でNo.1の選手を指名する」という方針を貫く日本ハムも1位指名を狙うものと思われる。
 即戦力投手として田中に続く存在として挙げられるのが、佐々木千隼(桜美林大)と柳裕也(明治大)の2人だ。佐々木は、その資質を高く評価している巨人や阪神による競合が予想される。柳については、投手王国復活を目指す中日が最も高い関心を持っていると報じられている。

 大学生左腕では、ともに奪三振能力の高さが魅力の笠原祥太郎(新潟医療福祉大)と濱口遥大(神奈川大)の2人が最大の焦点となる。慢性的な左腕不足に悩むロッテを筆頭に、上位指名が濃厚だ。
 社会人に目を向けると、最速152キロの直球とキレのあるスライダーが魅力の山岡泰輔(東京ガス)に注目が集まる。田中と同等の評価をしているヤクルトが、競合を避けて一本釣りも画策している。他には、広島も地元出身の選手として1位指名を視野に入れている模様だ。
 高い将来性を秘める高校生には、「高校BIG4」と評される寺島成輝(履正社高)、藤平尚真(横浜高)、高橋昂也(花咲徳栄高)、今井達也(作新学院高)といった逸材が並ぶ。この2年間、素材重視のドラフトを見せるソフトバンクが、将来の先発左腕の柱として寺島を高く評価している。横浜高の藤平は、地元の星として大きな期待を寄せるDeNAが一本釣りという展開も想像に難くない。
 ここまで11球団が投手を1位指名すると予想してきたが、唯一名前が挙がっていないのが西武だ。西武にとって、最大の補強ポイントがここ数年固定できていない遊撃手であることは明白。この穴を埋める存在として、スター性を持ち合わせ華麗なフィールディングで魅せる吉川尚輝(中京学院大)や、大学屈指の守備力を持ち味とする京田陽太(日本大)といった即戦力の内野手を1位指名するのではないだろうか。
 そして競合に敗れた場合、ハズレ1位に誰を指名するのかも大きなポイントとなる。投手の指名から一転して、即戦力の野手を補強する球団も出てくるだろう。広い守備範囲と強肩を備える遊撃手の源田壮亮(トヨタ自動車)や、大学日本代表で4番を務めた大砲候補の大山悠輔(白鴎大)といった選手は、チーム方針と合致すればこのタイミングで指名されてもおかしくない。特にヤクルトや中日など、攻守の軸となれる存在を求める球団は、野手陣の補強にも着手したいところだ。
 また、現有戦力とのバランスによっては素材型へシフトするという可能性も考えられる。高校BIG4の今井や高橋、または高校日本代表で評価を上げたサウスポーの堀瑞輝(広島新庄高)や、世代屈指の外野手との呼び声が高い鈴木将平(静岡高)などが上位候補として挙げられるだろう。安定した選手層で今季のリーグ戦を制した広島や日本ハムなどが熱視線を送っている。
 知略の限りを尽くした情報戦を制し、1年後にほほ笑むのは果たしてどの球団になるのか。10月20日におこなわれるドラフト会議で、すべての運命が決する。

※データはすべて2016年10月11日終了時点