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プロ数球団が注目する準硬式野球界期待の149km/h左腕 鶴田圭祐(帝京大)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

鶴田 圭祐 つるた・けいすけ
藤井学園寒川高→帝京大準硬式野球部
投手・左投左打・180センチ86キロ・1994年5月12日生(22歳)

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 空気抵抗が多く「硬式球より5km/h遅くなる」とも言われている準硬式球で最速149km/hのストレートを投げ込む本格派左腕。異色の経歴ながら、スリークォーターハンドから投げ込む威力十分の投球に、NPB数球団が注目している。
「普通に大学生をして、就活して、社会人になるもんだと思っていました」
 そう語るように鶴田自身が現在の状況に最も驚いていると言ってもいいかもしれない。

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 滋賀県守山市に生まれ、中学時代は軟式野球クラブチームの強豪・野洲ブレーブスで投手として活躍。高校は野球留学で香川県の藤井学園寒川高に野球留学した。だが、そこで制球力が安定せずに1年秋に外野手へ転向した。最高成績は2年秋の四国大会1回戦と、3年間甲子園には縁がなく、関西にある大学硬式野球部のセレクションを受けるも不合格。帝京大へは指定校推薦で入学し、準硬式野球部に入部した。

 だが、転機はひょんなことから訪れる。当時、チームに左腕が少なかったため、鶴田が元投手だということを知っていた同じ高校の先輩から「投手をやってくれないか」と頼まれ、投手に再転向した。

 普段の練習は、大学のアメリカンフットボール場で週5日。投げ込みは傾斜のない人工芝の上で行い、時間も朝の8時前から10時という決して恵まれているとは言えない環境ながら、選手主導で行う準硬式野球部の練習が肌に合った。「大学に来て野球が楽しくなりました」と、講義の合間を縫って学内のトレーニングジムにも通うなど、精力的にトレーニングに励んだ。
 すると体格とともに、球速も本人も信じられないほど伸びていき、NPB球団のスカウトも試合会場や練習場所に訪れるまでになった。8月からは硬式球で練習を始めたが、しっかりと指にかかり、スライダーやカットボールと言った変化球も準硬式球で投げていた頃と変わらない精度だという。

 ドラフトを間近に控え、鶴田のもとには数球団の調査書は来ているが「不安の方が大きいです」と話す。一方で、「“プロを目指す=硬式野球”というイメージがあると思いますが、いろんな道があるということを示していきたいです」と開拓者の意気込みを語るように、強い覚悟を持って運命の時を待つ。
 
文・写真:高木遊

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