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社会人野球

野球センスは菊池涼介(広島)以上。 吉川 尚輝(中京学院大)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

吉川 尚輝 よしかわ・なおき
中京高→中京学院大
遊撃手・右投左打・177センチ79キロ・1995年2月8日生(22歳)

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 プロ球団スカウトから「野球センスは同じ大学出身の菊池涼介(広島)以上」とも評される走攻守三拍子揃ったドラフト上位指名候補遊撃手。特に守備では抜群の反応を見せ、イレギュラーバウンドや三遊間・二遊間への抜けそうな当たりを華麗にさばき、観客を魅了する。

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 今年もっとも飛躍を遂げた選手と言ってもよいだろう。中京高時代からプロ球団スカウトに注目を浴びていたが、都内の強豪大の練習や生活に馴染めず入学を辞退。そこで王道のレールからは外れてしまったものの、今春に自身初の全国大会となった全日本大学野球選手権で、自らを含む周囲の誰もが驚く日本一を達成。一気にその知名度を全国区にした。

「いろんな人に迷惑をかけたので、野球を辞めて働こうと思っていました」
 吉川は入学を辞退し故郷に戻った4年前をそう振り返る。だが、高校の監督や両親が懸命に説得してくれたこともあり、出身の中京高の同じ学校法人の中京学院大に入学し野球を続けることとなった。
 1、2年時はそこまで高い意識で野球をやっていなかったが、2年冬に大学日本代表候補合宿に招集され意識が変わった。
「今まで観たことのないストレートの伸びや打球の速さを見て、“うわぁ、凄いな”と思いました」と、当時は目を丸くした。一方で「打撃では差があるけど守備と足ではイケるかなと思いました」と手応えを掴んだ。そして体の小ささを実感したため、岐阜に戻った後は、夕食だけでご飯4合を食べたり、ジムに通い始めるなど意識改革をした。

 そして4年の春、東海地区大学野球選手権で自らの好守備や決勝タイムリーで中京学院大を史上初めて全国大会出場に導いた。すると初戦の初回に吉川が放った三塁打を契機にチームは勢いに乗り、日本文理大・桐蔭横浜大・亜細亜大と全国制覇経験のある強豪を次々になぎ倒すと、そのまま一気に日本一に輝いた。

 さらにその後に行われた日米大学野球では侍ジャパン大学代表として出場。本職ではない二塁手も難なくこなし高い適応力をアピールした。また、同じドラフト上位指名候補内野手の京田陽太(日本大)とも親交を深め、今も頻繁に連絡を取り合うなど刺激を受け合っている。
 1度野球を諦めかけた男は地元の大学で再起をし、様々な経験を経て輝きを増した。波乱万丈の4年間は、今後の野球人生にも大きく役立つはずだ。

文・写真:高木遊

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