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ようこそ、株式会社NPB(日本プロ野球)へ 【第3回 “野球人気再考戦略のマーケティング部”:北海道日本ハムファイターズ、横浜DeNAベイスターズ】

前回に引き続きドラフト会議を“株式会社NPB(日本プロ野球)という会社の選手配属先を決定する会議”、と置き換えて
「どのチーム(部署)がどういう特色があるのか?」
「その特色を今回のドラフト会議でどう反映してあるのか?」
「その部署(球団)っぽい雰囲気に合致しているのか?」
という独自の切り口で勝手にお送りしているこの企画。

3回目の今回は、“野球人気の再考に向けた新進気鋭の株式会社NPBのマーケティング部”こと北海道日本ハムファイターズと横浜DeNAベイスターズを見ていこう。
※ちなみに今回もこの先の各球団の特徴、役割付けなどは筆者の超主観的な妄想であることも添えさせていただく。

【第1回 球界の人事部:東京ヤクルトスワローズ、埼玉西武ライオンズ】編はこちら
【第2回 球界の人気部署営業本部:読売ジャイアンツ 、阪神タイガース】編はこちら
【第4回 次世代の“野球選手”の登竜門・広告宣伝部:福岡ソフトバンクホークス、広島東洋カープ】編はこちら
【第5回 球界の名脇役“人材育成・R&D研究開発部”:オリックスバファローズ、千葉ロッテマリーンズ】
【第6回 冷静沈着派・自由闊達改革派 “球界の個性的仕事人が集う経営企画室”:中日ドラゴンズ、東北楽天ゴールデンイーグルス】

「ビジネスにおいて重要なのは誰をターゲットにするかだ! 」
「この商品の特徴は?競合優位性はなんだっけ??」
マーケティングとは何か・・・それに関しては、ここでこれ以上言及するつもりはないが、株式会社NPBにおいてのマーケティングとは、要するに【どういうチーム作りをしていくのかについて意思を持つこと】ではないかと個人的には思っている。そして、必要なのは【自分たちがどうなる方が、お客さんに喜んでもらえるのか?】を精力的にトライ&エラーを繰り返している姿勢。

このポイントが顕著に意思として現れ部署全体としてその意識が統一されていると感じるのが、昨今の【北海道日本ハムファイターズと横浜DeNAベイスターズ】なのだ。

まず、北海道日本ハムファイターズから紐解いてみよう。

日ハムが一番有名なのは、ドラフト戦略において【その年の一番良い選手を指名する】という明確な“採用判断基準”だが、それが組織全体に浸透しているように感じる。更に、選手育成に対しても独自の育成カリキュラムを構築しており育てる仕組みも確立させ、最終的にはチームが勝つことでファンに喜んでもらう、喜んでもらうことでファンになってもらう、というチーム作りをするためにその意思を仕組み化させているように感じる。
ファンにとって一番良いのは“勝つこと”であり、その確率を上げるために“良い選手を獲る”という意思が一番強い部署であり、そこが球界全体のマーケティングをリードする部署たる所以だ。

今年もその“意思”をはっきりと示した人選となった。

一巡目では、ブレずに【その年の一番良い選手】の評価を下した、今年の目玉・根尾昴(大阪桐蔭)を指名。しかしここからが凄い。重複抽選で外しながらも、高校生のラインナップにおいては、甲子園準優勝投手の吉田輝星(金足農業)獲得成功を皮切りに、将来性抜群の右打者・野村佑希(花咲徳栄)、未完の大砲・万波中正(横浜)、U-18日本代表では吉田輝星と仲良しの柿木蓮(大阪桐蔭)。

チーム全体として、大谷(現:ロサンザルス・エンゼルス)を口説き落とした時もそうだったようにチームとして、人間として、しっかり育成プランを立てて、その道筋にとって、監督・コーチ・スタッフなど大人みんなが意思を持って “プロ野球選手として成功する確率を上げるための教え”を説いていくという仕組みがしっかりと根付いているように感じる。
その考え方や仕組みが体系立てて、スマートに伝承していくあたりが“俗にいうマーケティング”っぽい雰囲気を醸し出す。

【写真提供=共同通信社】


余談だが今回の日ハムのドラフトは、「こうも有望株が集まるものかね!?」と思わざるを得ない人材配置の結果となり、近年のドラフト会議における引きの強さは、もはや、【北海道移転がファイターズにとって、風水的にどれほどの運気向上をもたらしたのか?】をどこかの誰かが本気で検証し始めるくらいのレベル。もしくは、学校の休み時間に野球をするチーム分けなら、「もう1回、グーパーし直そうぜ?」と誰かがいうレベルである。
言わずもがな、日ハムにとっては大成功の2018年ドラフト会議と言えるだろう。

一方、セ・リーグの“マーケティング部署”こと横浜DeNAベイスターズ。
2012年から親会社がディー・エヌ・エー(DeNA)となって6年。
球団創設5周年の時には、神奈川県の小学校、幼稚園・保育園に通う約72万人の子ども達にベースボールキャップをプレゼントしたり、球場では本格的な地元クラフトビール【BAYSTARSLAGER(ベイスターズラガー)】などを販売していたり、「DREAM GATE(ドリーム・ゲート)」と呼ばれるエリアからは、試合開催日には、ここからスタジアムの外からベイスターズの練習風景を見たり、写真を撮ったりすることができる、などと、地元“横浜”場所のブランドを含めて地域に根ざした野球チームへの変貌を遂げようとしている。

セ・リーグの中でも近年もっとも精力的に親会社、球団一体としてをしているように映る。やはりこの辺りが、経営や現場・プレイヤーなどが二人三脚で同じ方針を共有し、“意思を持った”チーム作りしている意思を強く感じる球団である。

そしてその意思は、ドラフトにおいては“ファン獲得マーケティング的意思を持った採用戦略”に基づき人材配置を企てているよう感じる。その採用戦略は “横浜系ツータイプ囲い込み戦略”である。その横浜系ツータイプとは大きく分類すると“都会派シティーボーイ(例:石川、熊原、乙坂など)”と“港町ワイルドガイ(例:筒香、宮崎、戸柱など)”に分けられる。もっと分かり易くいうと、前者はシュッとした正統派の横浜っぽいイメージで後者は無口で無骨な職人タイプ。

(左から)ソト、宮崎、筒香=横浜【写真提供:共同通信社】


今回のドラフトで行くと、ど真ん中の“都会派シティーボーイ”枠は、2位伊藤裕季也(立正大)で次世代のチームリーダー候補としても期待大。(ちなみに本人自身は、三重県出身)甘いマスクに大学最後の明治神宮大会では、決勝で逆転ツーランを放ち、2度目の優勝を引き寄せるというもうほとんど漫画の世界の中のような活躍で、早くも“新たなファン層獲得”に寄与してそうな予感。スラリとした長身投手・3位大貫晋一(新日鉄住金鹿島)のシルエットも注目されそうだ。

そして、“港町ワイルドガイ”枠は、1位上茶谷大河(東洋大)を筆頭に、4位勝又温史(日大鶴ヶ丘)、5位益子京右(青藍泰斗)、知野直人(新潟アルビレックス)などちょっとやんちゃっぽい印象が残っているワイルド系の人材配置となった。

どうでもいい話に逸れるが、時間が巻き戻せるなら、【ピッチャー・上茶谷(カミチャタニ)に代わりまして、中野渡(ナカノワタリ)】の交代アナウンスが聴きたかった。日本人ならこの言葉遊びを野球ファンならずとも楽しめたはず。

この両球団ともに、今のプロ野球界に対して積極的に“新しい風”“新しいスタイルや仕組み”を吹き込むために働きかけをしている部署であるように感じる。実際に、横浜や北海道の盛り上がりを見てもそれは、日本プロ野球に新たな年代層のお客さんを引き込んできているようにも感じる。

日本プロ野球界は、各球団ともに地域密着というキーワードのもと、様々な取り組みがされてきている。その先導役的な球団がこの2つであるように思う。両球団ともチームの選手も若く、フレッシュで活発な印象を受ける球団だ。ある意味凄く“現代的”で親しみ易いチームカラーであり、ユニフォームもカッコいい。ゆえ野球をこれから楽しみたいエントリーファンにはオススメかもしれない。

次回は、株式会社NPB(日本プロ野球)で今、一番乗りに乗っている若手希望殺到の広告宣伝部こと【福岡ソフトバンクホークスと広島東洋カープ】を紹介します。

文・キヅカキラ氏(@KZSK

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