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軟式球界にMAX153km/h右腕の隠し玉!吉岡慎平(ecoaハウス神出設計)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

吉岡 慎平 よしおか・しんぺい
札幌日大高→苫小牧駒澤大→JR北海道→ecoaハウス神出設計
投手・右投右打・186センチ87キロ・1992年11月11日生(24歳)

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 軟式野球界に最速153km/hのストレートを投げ、NPB数球団がドラフト指名候補にリストアップする豪腕がいる。それが北海道千歳市の『ecoaハウス神出設計』に所属する吉岡慎平だ。

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 苫小牧市に生まれ植苗バッファローズで軟式野球を始め、中学時代に所属した苫小牧リトルシニアから硬式球を握った。札幌日大高では3年春まで背番号10の控え投手だったが、夏場にかけて球速が130km/h台から142km/hにまで伸び、エースナンバーを獲得。南北海道大会4強で西田明央(ヤクルト)を擁する北照高に敗れたが、道内で注目の投手となった。
 そして進学した苫小牧駒澤大では、4年春に風張蓮(ヤクルト)や井口和朋(日本ハム)を擁した東京農業大北海道オホーツクを破り、全日本大学野球選手権初出場に導いた。初戦で敗れたものの、最速で151km/hを計測し本格派右腕として各球団のドラフト候補に名前が挙がった。

 歯車が狂い始めたのは、その夏からだ。テイクバックを小さくした新フォームが上手く合わずに、秋季リーグで調子を落とすと、その秋のドラフト会議では指名漏れ。失意のどん底に落とされたが、地元のJR北海道に進んだ。しかし、チームの方針と合わずに、わずか半年足らずで退社してしまう。 
 そこで、手を差し伸べてくれたのが、現在所属する『ecoaハウス神出設計』だった。同チームはプロ野球選手だった西村優希(元巨人育成選手)や2006年夏の甲子園決勝で早稲田実の斎藤佑樹(日本ハム)から本塁打を放った三木悠也(元駒大苫小牧高、関東学院大)らが所属。吉岡は「思っていたよりレベルが高くて驚きました」と入部当初を振り返る。
 普段は工事現場の建築管理を行いながら、週4日の練習に汗を流す。大学時に投手リーダーを務めていたこともあって、自らメニューを考えて練習することにも慣れており、この1年間でも成長を続けて、今年に入り球速を153km/hにまで伸ばした。
 調査書は数球団から来ているものの、指名の確約はなく不安な気持ちは大きい。だが吉岡は「腐らずに一生懸命やってきて良かった。失うものはありません。会社の人も応援してくれていますし、幸せです」と明るく話した。
 紆余曲折を辿ってきた本格派右腕に吉報は届くのか。運命の時はもうまもなくだ。

文:高木遊
写真:鈴木絢子

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