BASEBALL GATE

侍ジャパン

2017年ドラフト展望(大学生編)

■即戦力の期待が高い3投手

 昨年のドラフト直前、当時大学生として指名を待っていた田中正義(現・ソフトバンク)や佐々木千隼(現・ロッテ)の動向が世間から注目を浴びていた。今年は傑出した存在こそいないものの、プロでの活躍を見込める選手は数多くそろっている。どのような選手が指名を待ちわびているのか、まずは投手のドラフト1位候補を紹介したい。
 最大の注目は、大学No.1サウスポーと評されている東克樹(立命館大)。最速152キロの速球に加え、多彩な変化球を操る。特にブレーキの利いたチェンジアップは逸品。抜群の制球力も備えており、プロ1年目から先発ローテーション入りを期待したい存在だ。
 近藤弘樹(岡山商科大)も高い能力を有している。右腕から角度のついた最速153キロの剛速球を投げ込むかと思えば、多彩な変化球を駆使して抑えるクレバーな投球も得意としている。こちらも先発投手陣の一角を任せたくなる逸材だろう。
 はまればすさまじい投球を見せるのが、同じく右腕の馬場皐輔(仙台大)。最速155キロの重い直球と、縦に鋭く落ちるスライダーとのコンビネーションで空振りを量産する。4年秋の東北学院大戦では先発全員から計14奪三振を記録するなど、手のつけられないピッチングを展開した。

【写真提供:共同通信社】


■彼らに次ぐ多様な投手陣

 上記3名を追う投手として、鍬原拓也(中央大)と草場亮太(九州産大)の両右腕は見逃せない。ともに力強いストレートと鋭い変化球を併せ持つ本格派で、能力的には先述の3投手に引けをとらないだろう。左腕に目を移すと、球の出どころが見えにくい投球フォームから抜群の伸びを誇るストレートを投げ込む高橋遥人(亜細亜大)や、サイド気味の投球フォームから微妙に動くボールやチェンジアップなどを駆使する齋藤大将(明治大)の上位指名が予想されている。
 高橋礼(専修大)と與座海人(岐阜経済大)の2投手も面白い。ともに牧田(現・西武)をほうふつさせるような力強いアンダースローが特徴の右腕で、ドラフト市場を彩り鮮やかにしてくれる存在だ。
 最後にプロスカウトがその素材に賭けたくなるような2投手を紹介する。ケムナ・ブラッド誠(日本文理大)は、192センチの長身から剛速球を投げ下ろすスケールの大きさが魅力の右腕だ。東京大の左腕エース・宮台康平は故障もあって最終学年では本来の姿が影を潜めているが、3年時の投球は圧巻だった。

■京田、大山に続きたい野手陣

 今季のプロ野球は、京田陽太(現・中日)や大山悠輔(現・阪神)など大卒ルーキーの台頭が目立った。今年も、同様の活躍が期待される指名候補の野手がいる。
 走攻守3拍子そろった遊撃手の宮本丈(奈良学園大)は、重心の低い独特のノーステップ打法から安打を量産。3年時の全日本大学選手権で大会史上初のサヨナラ満塁弾を放つなど、パンチ力も兼備する。東都大学野球リーグ通算100安打を達成した山崎剛(国学院大)は、攻守に安定感を誇る内野手。4年春にはリーグ戦で3本塁打を放ち、パワーアップしたことを示した。
 外野手に目を移すと、抜群のバットコントロールを誇る楠本泰史(東北福祉大)に注目。4年夏に開催されたユニバーシアード競技大会では全7試合で大学日本代表の4番を務めるなど、世代を代表するスラッガーだ。

■一芸に秀でた選手たち

 最後に、一芸に秀でた2人の注目野手を紹介したい。1人目は、アマチュア球界No.1の飛距離を誇るといわれる岩見雅紀(慶応大)。4年秋のリーグ戦では連盟記録を更新する5試合連続本塁打をマーク。逆方向にもアーチを描ける技術を有しており、大砲が欲しいチームにはうってつけだ。
 一方、足で魅せるのは島田海吏(上武大)だ。50メートルを5秒台で駆け抜ける快足だけでなく、3年春には打率.469で首位打者に輝いた打撃も成長を遂げている。

※データは全て2017年10月17日終了時点