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プロ野球

「桐生祥秀に勝った男」の魅力は俊足だけじゃない! 島田海吏(上武大)

「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」

島田 海吏 しまだ・かいり
九州学院高→上武大
外野手・右投左打・175センチ72キロ・1996年2月6日生(21歳)

 島田本人は「たまたま彼が怪我していたそうなので」と謙遜するが、9月に日本人初の100m9秒台をマークした桐生祥秀より先着した経験があるほどの俊足が武器だ。

 宇土市立鶴城中時代に野球部に所属する傍ら、熊本県の陸上競技大会に出場。すると100m 11秒01の大会新記録で優勝を果たす。全国大会では決勝進出こそならなかったものの、準決勝で桐生よりも先着。その俊足は陸上関係者からも熱視線が注がれており、九州学院OBの末續慎吾(北京五輪銀メダリスト)から勧誘を受けたほどだ。

 そんな島田だが、武器は足だけではない。DeNA・河原隆一スカウトが「俊足はもちろんですが、バットコントロールが良く広角に打てることも魅力です。三遊間を抜いていく打球なんて、篠塚和典さん(元巨人)のよう」と評すように、打撃の成長も著しい。

 上武大では東洋大や東芝で強打者として活躍した谷口英規監督の指導を受け、「監督がいなかったら今の自分はありません」と語るほど、技術を向上させてきた。

 2年春からレギュラーを獲得すると、5季連続4強で全国大会4強に進出。侍ジャパン大学代表にも昨年・今年と2年連続で選出された。地方リーグでは全国屈指のレベルを誇る関甲新学生野球だけでなく、国内外様々な投手と対戦し腕を磨いてきた。
 今春のリーグ戦では打率.385、ユニバーシアードでは打率.391をマークし、それぞれ優勝に貢献。盗塁も「スタートが切れればアウトになることは無いという絶対的自信はあります」と失敗はほとんど無くなった。

 進路は社会人強豪からの誘いをすべて断り「自分がどれだけやれるのかと可能性を試してみたかったです。限界を作りたくありませんでした」とプロ一本でドラフト会議を待つ。
 目標の選手は西川遥輝(日本ハム)の名を挙げ「バットもしっかり振れて、足も速くて盗塁もできて、守備もどこでもこなせて魅力が多い選手になりたいです」と語る。

 俊足に驕ることなく進化を続けてきた島田が、次なるステージでどんな躍動を見せてくれるのか楽しみだ。

文・写真=高木遊