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立教大59年ぶりV 全員野球を象徴する一般入部・大東孝輔のMVP【全日本大学野球選手権】

★チームを活気づけた伏兵

昨年まで優勝まで、あと一歩と何度も迫りながらリーグ優勝に届かなかった立教大。その一歩を踏み出すために、溝口智成監督は「誰かの調子に左右することなく、たとえ打てなくても全員で1点をもぎ取る」ことを目標とし、今季のスローガンに「戮力同心」(心を合わせて協力すること)を掲げた。

それを象徴するように日替わりでヒーローが生まれ、今大会では岐阜県の進学校・長良高校から指定校推薦で入学した4年生・大東孝輔内野手が最高殊勲選手賞に輝いた。

59年ぶり4回目の優勝を果たして喜ぶ選手たち・溝口監督


東京六大学野球春季リーグ戦でも、負ければ優勝の可能性が絶たれる早稲田大との2回戦で、代打に起用されて貴重なサヨナラ打を放って、後の優勝に繋げた。また、今大会も初戦の富士大戦で右中間に飛び込む2ラン本塁打を放ち、その後の逆転勝利に繋げた。得点にこそ繋がらなかったが準決勝では三塁打を放つなどラッキーボーイ的存在となっていた。

そして決勝戦。いきなり国際武道大に先制を許す苦しい展開だったが、1回裏に前打者の山根佑太外野手(4年・浦和学院)の逆転タイムリーに続き、レフトスタンドに飛び込む3ラン本塁打を放って、最高殊勲選手に輝いた。

相手エースの伊藤将司から貴重な3ラン本塁打を初回に放った


入学当初は、アスリート選抜入試で入学したエリート選手たちが試合に出る一方で、大東は試合の補助役。「いつかは試合に出よう」と振り込みを重ね、171cmの身長から想像できないパンチ力を身につけた。

溝口監督が常々大切にしているのが、「野球部員188名の部員、1〜4軍全員が同じ思い、誇りと自覚を持って立ち振る舞う」ということ。今大会の大東の活躍は、現在試合に出られずくすぶりながらも、ひたむきに活躍を目指している選手たちにも、大きな勇気を与えるものだったに違いない。

また、未だに社会人野球チームからの内定を得られておらず「なんとか野球を続けたいです」と願う大東にとっても、その道を切り拓くかもしれない鮮烈な活躍だった。


高校時代は甲子園出場に縁の無かった大東だが、大学で急成長を遂げ日本一に大きく貢献した。


★決勝・国際武道大vs立教大

国際武道大 101000000=2
立教大 50000121X=9
【武】●伊藤将、林、青野、国本、高橋、平川—筒井、小田
【立】手塚、◯中川−藤野
本塁打:立教大・大東《1回3ラン》

★表彰選手

最高殊勲選手賞:大東孝輔(立教大)
最優秀投手:中川颯(立教大)12回登板2勝、防御率0.00
首位打者賞:赤木陸哉(国際武道大)15打数7安打 打率.467
敢闘賞:磯網栄登(国際武道大)
特別賞:東海大北海道キャンパス

◎立教大・中川颯投手(1年・桐光学園)

「入学して最初のシーズンでこんなに上手いくとは思いませんでした。リーグ戦では思い通りにいかないこともあったので、今大会は決勝戦にピークを持ってきました。チーム力はどこにも負けない気がします」


◎国際武道大・服部創太主将(4年・東海大相模)

「悔しいの一言です。立教大も良いチームでしたが、野手が取り返さないといけませんでした。日本一を掲げてやってきて、一戦ごとにチーム力は上がってきたと思います。この悔しさを秋にぶつけて、またこの舞台(神宮球場)に帰ってきたいです」

投打にバランスの取れた布陣で初の準優勝に躍進した国際武道大は、秋の明治神宮大会での雪辱を狙う。


試合内容や観戦に訪れた立教大OB・長嶋茂雄氏コメントなどはこちら

文=高木遊
写真=伊藤華子