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主将・福田の同点弾&1年生・齊藤の決勝打!法大が執念の逆転勝ち!東大は小林の力投実らず…【10/27 秋季東京六大学野球 2回戦 法政大学 vs 東京大学】

終盤に勝利への執念を見せた法大が6対4で東大に逆転勝ち。今カード2連勝で勝ち点を4に伸ばし、逆転優勝の可能性を残した。

今カード2連勝すれば他力ながら優勝の可能性を残す法大は、今季4試合で3勝0敗、防御率0.90の高田孝一(3年・平塚学園)が先発。対する東大は、前日の1回戦で敗れはしたが8回86球を投げて3安打1失点と好投した小林大雅(4年・横浜翠嵐)が2日連続の先発マウンドに上った。

 試合は東大ペースで進んだ。1回裏に先頭の辻居新平(4年・栄光学園)の2塁打から1死3塁として相手エラーで1点を先制すると、3回裏には再び辻居がヒットで出塁すると、2番・笠原健吾(3年・湘南)も連打で続き、2死1、2塁となって4番・青山海(4年・広島学院)が左中間を破る2点タイムリー2塁打。序盤で3点のリードを奪った。そして、マウンド上では、小林が相手に的を絞らせず。4回表に1点を返されたが、6回裏に小林が自らタイムリーを放って4対1で終盤に突入した。

 予想以上の苦戦に「落ち着け、焦るな、と言っていましたが正直、焦りはありました。いつも通りではなかったです」と法大・青木久典監督。しかし、7回表、2四球と重盗成功で2死2、3塁とし、この日「1番・ファースト」でスタメンに抜擢された齊藤大輝(1年・横浜)が左中間を破る2点タイムリー2塁打放って2点を返すと、続く8回表には「負けたら終わる。キャプテンでもあるし、何とかしようと思って打席に入った」という福田光輝(4年・大阪桐蔭)がライトへ同点ホームラン。

8回表、法大の福田がライトへ同点本塁打を放ち、「自分が一番ホッとした」とホームイン

試合を振り出しに戻すと、続く9回表には無死1塁から再び齊藤が、「とっさに体が反応しました」とライト戦を破る勝ち越しのタイムリー3塁打。その後、4番・伊藤寛士(4年・中京大中京)にもタイムリーが飛び出し、終盤3イニングで5点を奪った法大が逆転勝ち。今季8勝2敗の勝ち点4の2位で、最終週の結果待ち(慶大が早大に2連敗した場合、優勝決定戦へ)となった。

9回表、この日1番打者で出場した1年生・齊藤のこの日3本目のヒットが勝ち越しタイムリーとなった

 一方、敗れた東大は、先発の小林が9回124球を投げて2日連続の完投も無念の黒星。リーグ戦通算51試合0勝29敗で終えて「全員が僕に1勝を、という気持ちも伝わってきた。それに応えられなかった」と小林。それでもチームは最後まで気迫溢れるプレーを続け、2017年秋以来の白星にあと一歩のところまで近づき、「最終的には負けてしまいましたけど、最高の試合ができたと思います。100%の力は出せた。こういう試合ができたことをキャプテンとして誇りに思います」と辻居新平(4年・栄光学園)。試合終了後、熱戦を展開した両チームに対し、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。

東大の先発・小林は緩急を使いながら低めにボールを集めて2日連続で完投した…

■法政大vs東京大2回戦
法政大 000 010 212=6
東京大 102 000 000=4
【法】高田孝、内沢、鈴木、柏野、○三浦−伊藤
【東】●小林大−大音
本塁打:法大・福田《8回ソロ》

◎法政大・青木久典監督
「しんどかったですね。若い新戦力を使って、いいところで打ってくれた。怖さを知らない彼らが思い切ってやってくれたのが勝利につながった。(福田の同点弾は)キャプテンの意地を見せてくれた。(東大の)小林投手は素晴らしかった。常にポーカーフェイスで淡々と投げる。投げていくうちに投球術も覚えてきた。こういう言い方は失礼かも知れませんが、十分に勝てるピッチャーだと思う。うちのピッチャー陣も勉強してもらいたい。(8勝2敗で今季を終えて)慶應さんに2つ、たて続けに負けたのは悔しい。ここという時、勝たなきゃいけない時に力を出せない。まだまだだなと思います。でもまだ(優勝の)望みはあるので、(プレーオフを)やるつもりでしっかり準備したい」

◎法政大・福田光輝(4年・大阪桐蔭)
「負けたら終わる。(同点弾は)キャプテンでもあるし、何とかしようと思って打席に入った。正直、焦りはあった。(小林投手が)真っ直ぐが多くなってきていると思ったので、その真っ直ぐを打ちに行こうと思った。初球から打ちに行こうというのは決めていました。自分が一番ホッとしました。自分たちは何もできないですけど、1%でも(優勝の)可能性が残っているなら、気持ちだけは切らさずに待ちたい」

◎法政大・齊藤大輝(1年・横浜)
「(決勝打は)アウトコースの真っ直ぐ。後ろに繋げようと思って、逆方向を狙って打ちました。とっさに体が反応しました。(3安打に)昨日からいい形で打てていて、そのイメージを持って打席に入りました。低めのボールに手を出さなかったのが良かった。自信を持って打席に入ることを心がけましたし、今日では自信になりました」

◎東京大・小林大雅(4年・横浜翠嵐)
「前半はいい調子で、打線も点を取ってくれた。全員が僕に1勝を、という気持ちも伝わってきた。それに応えられなかった。(7回は)疲れはありましたし、ボールも上ずって来ていましたけど、気力で行ける範囲だった。連続で四球を出して、その後も修正できなかったのが悔やまれます。リーグ戦50試合以上に投げて勝つことができなかったのは本当に悔しい。でも後輩たちが自分を見て思うことがあれば、来シーズンにぶつけてもらいたい。(29敗について)僅差で負けた試合もあれば、初回から試合を壊したこともあった。たくさん負けるということは名誉なことではないですが、ずっと期待して使ってもらっていたことに感謝したい。勝てていないので、悔いは残ります。でもこのチームでできたことは良かったです」

◎辻居新平(4年・栄光学園)
「序盤にいい展開に持ち込めていただけに悔しさはあります。春からなかなか勝てなくて、その中には惜しい試合もありましたけど、今日が一番緊迫した試合でした。最終的には負けてしまいましたけど、最高の試合ができたと思います。100%の力は出せた。こういう試合ができたことをキャプテンとして誇りに思います。2年生の時には勝ち点も経験させてもらった。いい思い出を作らせてもらって感謝しています」