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高校野球

中谷監督の愛弟子 高校生NO.1強肩捕手 東妻純平(智辯和歌山高)【時は来た!ドラフト指名を待つ男たち 高校生編】

東妻 純平(あづま じゅんぺい) ●守備 捕手 ●身長・体重 172cm・74kg ●生年月日 2001年07月03日 ●所属 智辯和歌山高 ●球歴 智辯和歌山高 ●出身地 和歌山県 ●投・打 右・右 【写真提供:共同通信社】

東妻 純平(あづま じゅんぺい)
●守備 捕手 ●身長・体重 172cm・74kg
●生年月日 2001年07月03日 ●所属 智辯和歌山高
●球歴 智辯和歌山高 ●出身地 和歌山県 ●投打 右右
【写真提供:共同通信社】

 入学した時は遊撃手だったというから、あらためて意外に思う。

「プロでもこれほどの強肩はそうはおらん。チームにも本人の将来のためにも捕手がええ」

 中谷仁監督はキャッチボールを見た瞬間に、当時の高嶋監督に相談したという。

 ショートを守っていた本人に「甲斐拓也になれる」といったそうだ。遠投125メートル、二塁送球1秒8台を記録することもある。今や、高校生ナンバーワン捕手の評価を得るまでに成長した。

 阪神、巨人など捕手としてプロ野球界での経験豊富な中谷監督が、2017年にコーチに就任。東妻は同年の入学で、中谷監督の頭脳のすべてを一から注入された、言わば愛弟子だ。

「東妻? あいつはまだまだですよ。過大評価されすぎ」

 これは甲子園のインタビュー通路での中谷監督の口癖だった。その一方で、キャッチング、ワンバウンドのストップも高校のトップレベルと評価する。

 5回すべての出場機会で甲子園を経験した(1年夏は試合の出場なし)。それだけ東妻もいろんな高校野球人生を経てきている。

 2年センバツ、発熱をしながら準優勝した。決勝では大阪桐蔭の根尾(現中日)から2点タイムリーを放っている。また、準決勝と決勝で二盗を阻止して強肩を披露している。

 2年夏は大阪桐蔭に雪辱する前に近江に初戦敗退。

秋からは4番に座り、公式戦で3本塁打、16打点を記録する。

 3年春のセンバツの1回戦、熊本西戦で自身23本目(通算33本)、真ん中のストレートを3ランしている。このゲームは監督として中谷監督の初勝利になって、ウイニングボールを東妻が手渡した。

 しかし、準々決勝で明石商にサヨナラホームランを喫して敗戦。「長打だけを警戒する場面。ボールゾーンに構えるべきだった、僕のミスです」と悔やんだシーンは印象的だった。

 夏こそ優勝、と臨んだ3年夏。米子東戦は3安打2打点。明徳義塾戦は1イニング3本塁打の同校のタイ記録となるソロホームランをセンター越えに打った。そして、星稜との3回戦。奥川に4三振を奪われて延長14回、タイブレークで敗退した。

「奥川はキレ、球威、コントロール全てにレベルが上だった」と目を赤くはらした。

 センバツも夏もサヨナラホームランで敗退という苦渋を味わうことになった。

 その雪辱をプロのステージで晴らしたい。

「体が強いからプロの厳しい練習でも生き残れる」と監督が言う。センバツ以降は指導もプロ基準になったそうだ。

スカウトの評価は高い。

「ホークスの甲斐拓也っぽいです。走攻守がそろっている。高校生の捕手ではNO.1。5季連続出場の経験から、周りを見てゲームをつくれている」

 兄は千葉ロッテの東妻勇輔でバッテリーを組むことも夢見る。中谷監督に鍛えられ、他ではできないような甲子園での好ゲームの数々でマスクをかぶり続けてきた。それはプロでも生かされるはずだ。

(文・清水岳志)