- 社会人野球
2016.10.16 22:02
日米大学野球で侍の4番を務めた穏やかな好青年。大山 悠輔(白鴎大)
「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」
大山 悠輔 おおやま・ゆうすけ
つくば秀英高→白鴎大
三塁手・右投右打・181センチ94キロ・1994年12月19日生(21歳)
普段は穏やかな表情が印象的な好青年だが、打席に立つと一打で試合を決められてしまうような怖さを感じる右打ちのスラッガー。今春は関甲新学生リーグで1シーズン8本塁打を放ち、リーグ新記録を更新。侍ジャパン大学代表選考合宿の紅白戦では、宮台康平(東京大3年)ら好投手から3試合連続で安打を放ち、日米大学野球では4番打者を務めるなど飛躍のシーズンとなった。
また、アマチュア球界のスラッガー型内野手にありがちな守備の不安定感はなく、強肩を生かした矢のような送球も光る。
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輝かしい今季の活躍の一方で、高校時代は思うような成績を残すことはできなかった。中学時代に選抜チームの「オール茨城」で佐藤拓也(立教大4年/外野手)らとKボール全国大会で3位に入賞した。だが、つくば秀英高時代は、「あっという間に終わってしまい涙も出なかった」と3年夏は茨城大会初戦で姿を消すなど、全国的な注目は一切集めることなく高校生活を終えた。
そこからここまで大きな成長を遂げることができたのは、白鴎大・黒宮寿幸監督(昨年までは助監督)の指導が大きい。高校時代は最速が140km/hを超える速球派右腕としても注目されていたが、大学入学後は野手に専念。1年春から三塁手として起用された大山に対し、課題が出てはそれを黒宮監督が厳しく追い込んだ。
フェンス手前での大飛球でも「あそこまで飛ばせるのに、なんでフェンスを越えないんだ」、5打数4安打でも「チャンスで打たなければ意味がない」と叱責するなど、結果に対し妥協を許さない指導を行った。
そして、大山もまたそれに必死でついていった。すると、「今思えば高校時代にもっとあれば良かった」と話す執着心が生まれ、出た課題に対して自らどん欲にアプローチしていけるようになったという。この吸収力の豊かさを生かしていけば、プロの世界でもさらに潜在能力が伸びていくこととなりそうだ。
持って生まれたパワーに、大学4年間で身についた吸収力。プロというさらに刺激的な舞台で、右の長距離砲はどこまで力を伸ばしていくのか楽しみだ。
文・写真:高木遊
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