BASEBALL GATE

侍ジャパン

【Baseball Gate Analysis】外国人打者には“高めのつり球”が有効?

 3月の上旬から第4回WBCが始まる。日本は第1ラウンド初戦でキューバとの対戦を控えており、準決勝以降はアメリカ、ドミニカ共和国、ベネズエラなど現役メジャーリーガーが集う強豪と顔を合わせる可能性が高い。では侍ジャパンの投手が多士済々のスラッガーたちを抑え込むには、どのような攻めが必要なのだろうか。メジャーは球威のある投手が多く、打者はストレートへの対応力が高いと考えられるが、ここではあえて直球の使い方に焦点を当てたい。

直球に安定感のあるのは誰だ?!

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 まずNPBに所属する助っ人たちに対し、どのコースへのストレートが有効かを検証する。過去5年分の高めストレートのボールゾーンスイング率を見ると、外国人選手は日本人よりも全体的に悪い数字が出ていた(表1)。さらに同ゾーンをスイングした時のコンタクト率も10ポイント前後低い傾向があり、高めストレートへの対応に苦しむバッターが多いようだ(表2)。

エルドレッド オープン戦・098から一転打ちまくり

■狙われるエルドレッド

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 そしてNPBの投手は、彼らの弱点を突くような配球を見せていた。「捕手が打者のベルトより上のボールゾーンにミットを構えた場合(ただしストレートのみで、ピッチアウトは含まない)」を“高めのつり球”と定義。これを集計してみると、2016年に最も多くつり球を多く投じられていたのは広島・エルドレッドで、8.1球に1回要求されている(表3)。同選手を筆頭にトップ10には外国人打者がずらりと並んでおり、この傾向は昨年に限らない。助っ人には高めのストレートという配球は、NPBにおいてセオリーといっていい攻め方と考えられる。

■最多投球は牧田

C[1]

 ではこのつり球を最も多用していた選手は誰なのだろうか。そこで、ある投手の名前が浮かび上がる。昨年12月に先行発表された代表選手18名の中で、投手として唯一2大会連続の侍ジャパン入りとなった西武・牧田和久だ(表5)。前回のWBCでは抑えも務めた右腕は、希少なアンダースロー投手として国際大会で重宝される存在。同投手は昨季15.4球に1回のペースでつり球を使っており、入団した2011年以降、常に球界トップとなっている(投球数500以上の投手を対象)。

独特なアンダースロー牧田 和久

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 そんな牧田のストレートは平均球速こそ130キロに届かないものの、高めの被打率が毎年優秀な数値を記録。特に昨季は53打数7安打で被打率.132に抑え込んでおり、独特な軌道を描く直球は他の投手にはない武器として威力を発揮している(表6)。侍ジャパン救援陣の切り札として、重要な局面でのピッチングに期待したい。

 捕手が高めのつり球を要求しても、少しでも甘いゾーンに入れば、長打を浴びるリスクは高まる。しかし狙ったところに投げることができれば、高めの直球が外国人打者に有効なのも事実だ。ストレートの「高め」への制球力が、侍ジャパンの優勝のカギになるかもしれない。

※データはすべて2016年シーズン終了時点

文:データスタジアム