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プロ野球

高卒ルーキーが目指すべき数字

写真提供:共同通信

■高校生中心となった2017年ドラフト

 10月26日、プロ野球ドラフト会議がおこなわれ、育成枠を含めて114選手が指名された。最も注目を集めたのは、高校通算111本塁打を放った清宮幸太郎(早実高)。高校生では史上最多タイとなる7球団が競合した末、日本ハムが交渉権を獲得している。他にも夏の甲子園の大会本塁打記録を更新し、時の人となった中村奨成(広陵高)は2球団競合。安田尚憲(履正社高)、村上宗隆(九州学院高)がそれぞれ外れ1位で3球団競合しており、長打力のある高校生が話題をさらったドラフトといっても良いだろう。

 さまざまな目標を抱きプロの世界に飛び込んでくる若武者は、持ち味をいきなり発揮できるのだろうか。その参考とするため、過去の高卒ルーキー野手のデータを整理したい。

■清原が打ち立てた金字塔

 ルーキーイヤーに華々しい活躍を見せた高卒選手といえば、やはり清原和博だろう。PL学園高の1年時から甲子園のスターとして名をはせた清原。その勢いはプロ入り後も止まらず、1年目の7月までに12本塁打、8月以降は53試合で19本塁打と打ちまくった。2リーグ制以降、一軍で30本塁打をクリアした高卒ルーキーは清原ただひとりだ。グラフにあるとおり、上位は1950年代の選手が大半で、2ケタ本塁打を記録した打者は93年の松井秀喜を最後に出てきていない。10位タイにランクインしている森友哉(西武)の6本が、21世紀では最多となっている。

 次に200打席以上の選手を対象にした打率を見ても、1位はやはり清原(表1)。3割以上の打率を記録したのも彼だけで、あらためてその傑出ぶりがうかがえる。ちなみに対象となった22選手のうち、最も打率が低かったのは王貞治の.161だった。後に“世界の王”と呼ばれる大打者も、はじめから一線級だったわけではない。清原同様に高校1年生時から活躍していた清宮は、1年目から清原クラスなのか。それとも、早実高の大先輩である王のように苦戦するのか。現代の状況を考えると、10本塁打を打てば10年に1人の怪物と呼んでも差し支えないだろう。

■異彩を放つオリックスの“鈴木”

 一方、仮に一軍で10本塁打を打てるだけの実力があっても、一軍で起用されないケースもあるだろう。かつての中田翔のように、日本ハムが清宮を二軍でじっくりと育成する、という可能性も十分に考えられる。では、二軍でどのくらいの成績を残せば優秀といえるのだろうか。そこで二軍のデータがある1991年以降を対象に、一軍と同じように成績を追っていく。

 高卒ルーキーが二軍で放った本塁打で、頭一つ抜けていたのが筒香嘉智(DeNA)。他にも大田泰示(日本ハム)や中田など、高校時代からパワーを評価されていた選手が名を連ねている。今季終盤にデビューから2試合連続弾を放った細川成也(DeNA)も2ケタ本塁打を記録した選手の1人で、今後が楽しみな存在だろう。

 最後に二軍の打率を見ていくと、こちらも後に活躍する選手が数多くいる(表2)。その筆頭といえる存在が、打率.366でトップの鈴木一朗だ。1994年に登録名を“イチロー”へ変更した後の活躍は、いまさら語ることもないだろう。一軍で6本塁打を放った森は二軍でも打率.341を残すなど、1年目から高いパフォーマンスを見せていた。この表には載っていないが、16年ドラフト4位の坂倉将吾(広島)が打率.298で11位につけている。次代の正捕手は坂倉なのか、それとも17年ドラフト1位の中村なのか。広島は、他球団からするとぜいたくな悩みを持つことになりそうだ。

■3年目までに過半数が一軍デビューする

 高卒ルーキーは長い目で見るべき、という声もある。とはいうものの、有望な選手は早めに一軍デビューを果たしている。上の図は、2005~14年の高卒入団選手(育成枠を除く)を一軍でプレーしたかどうかで分けたものだ。オレンジ色の枠が一軍でプレーした人数を指している。これを見ると、球団が期待して1年目にデビューした選手はやはり2年目3年目と出場しているケースがほとんどだ。

 そして、2年目までに一軍デビューできないと、早くデビューした選手との差は広がっていく傾向がある。表3は高卒野手を一軍デビューしたタイミングで分け、3年目の出場試合を算出したものだ。2年目までにデビューしていない選手は、1年目から出場している選手よりも平均で40試合ほど下回っていて、同じ3年目でも立ち位置はかなり異なっている。当然のことかもしれないが、まずは一軍でプレーすること。それが、高卒ルーキーの今後を見る上でひとつの目安となるかもしれない。

※データは2017年11月2日現在

文:データスタジアム株式会社 小林 展久