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広島が逆襲へ無くすべき「無駄な四球」 今後も脅威となるメンドーサの存在


27日の日本シリーズ第5戦(札幌ドーム)は日本ハムが広島に5-1でサヨナラ勝ちし、10年ぶりの日本一へ王手をかけた。同点の9回に西川が劇的なサヨナラ満塁本塁打。敵地で2連敗を喫したが、札幌ドームの大歓声を力に変えて本拠地で3連勝を飾った。

■札幌3連戦は四球から失点、「日本ハムのつなぎと粘り」は称えられるべきも…

 27日の日本シリーズ第5戦(札幌ドーム)は日本ハムが広島に5-1でサヨナラ勝ちし、10年ぶりの日本一へ王手をかけた。同点の9回に西川が劇的なサヨナラ満塁本塁打。敵地で2連敗を喫したが、札幌ドームの大歓声を力に変えて本拠地で3連勝を飾った。

 一方の広島は1点リードの7回、2番手・今村が先頭の田中賢を歩かせ、1死一、三塁から岡の犠飛で同点とされた。8回は2試合連続で救援に失敗していた広島のジャクソンが3者凡退の快投。しかし、9回は守護神・中崎が1死から田中賢に四球を与え、中島卓の三塁内野安打などで満塁とされると、最後は西川にサヨナラ弾を浴びた。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は「打った西川、つないだ中島卓はすごいですが、やはり第5戦の広島の失点も四球からでした」と指摘。広島投手陣の終盤の“ミス”が、敗戦につながったという。

「決して当たっている打者ではないですが、どちらも田中賢介を歩かせてしまった。終盤の四球というのは厄介なんです。数年前の少し古い話ですが、メジャーリーグでは7回以降の先頭打者の四球が79%の確率で得点につながっていたというデータが出ています。この試合の9回については1アウトからでしたが、大きな四球でした。日本ハムのつなぎや粘りを当然、褒めないといけませんが、広島としてはこの3連敗はいずれも無駄な四球から得点につながってしまっている。フォアボールというのはやはり怖い」

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■今村、ジャクソン、中崎は本拠地で「しっかり切り替えられるか」

 2連勝で敵地に乗り込んだ広島だったが、敵地の3試合はすべて接戦を落とした。25日の第3戦は1点リードの8回にジャクソンが先頭の中島卓を四球で歩かせると、2死一、二塁となってから中田に逆転打を浴びた。9回には同点に追いついたものの、10回には2イニング目の大瀬良が1死から西川を歩かせ、最後は大谷にサヨナラヒットを許した。また、第4戦は8回に登板したジャクソンが1死から中田に四球を与え、2死となってからレアードに決勝2ランを浴びている。

「中崎は状態が悪そうには見えませんでした。本当にちょっとしたところ。中島卓も打ち取った当たりでしたが、あのヒットで少し動揺してしまったかなと。2試合連続で打たれていたジャクソンは上手く切り替えられた。ただ、これで広島は後ろの3人(今村、ジャクソン、中崎)全員がこの3試合の中でやられてしまった。それでも、この試合でジャクソンが投げたことを見ても分かるように、緒方監督は(起用法を)変えないと思います。だから、3人がしっかり切り替えられるか、すっきりした気持ちで第6戦に臨めるかがポイントになります。その点では広島に戻ることが出来るのは大きいとは思いますが……」

 本拠地に戻ってからの2試合も、終盤の無駄な四球は許されない。大歓声を力に変えられるマツダスタジアムで、本来の姿を取り戻したいところだ。

 さらに、第5戦では打線も5安打1失点と湿っていた。初回は先発のルーキー加藤に3安打を浴びせるも1点どまり。2回は1死満塁の絶好機を作ったが、ここで登板したメンドーサに菊池が三ゴロ、丸は空振り三振と抑えられた。7回まで1安打しか許さなかったメンドーサは、この試合のMVPとも言える活躍だったが、これは第6、7戦に向けて広島の不安材料の1つとなるという。

【次ページ】日ハムの第6戦先発は増井、仮に負けても第7戦は大谷が先発か

■日ハムの第6戦先発は増井、仮に負けても第7戦は大谷が先発か

「メンドーサは素晴らしかった。加藤がソフトバンクとのCSファイナル第5戦で1回4失点と崩れていたので、初めからこういった形の継投は想定していたのでしょう。メンドーサは準備万端でした。『いつでもいけます』という態勢だったと思います。これは日本ハムの危機管理ですね。そして、広島は残りの2試合で苦しくなった。第1戦で日本ハム打線がジョンソンにやられたのと同じように、メンドーサに完璧にやられてしまったからです。

 日ハム打線は第1戦でジョンソンのカットボールを全く打てませんでしたが、広島打線はメンドーサの150キロ近いツーシームとチェンジアップに完全に翻弄された。あれでカープのバッティングが狂っていなければいいな、という心配はあります。もし7戦目にもつれれば、おそらく日本ハムは投手陣を総動員で、メンドーサを含めて全員つぎ込める態勢を作るでしょう。メンドーサのようなピッチャーは、屋外の方がボールを動かしやすいと思うので、広島にとっては嫌な存在です」

 29日に迎える第6戦、王手をかけた日本ハムは大谷ではなく増井が先発することが決まった。ただ、第7戦までもつれれば、大谷が先発で出てくる可能性が高そうだ。日本ハムナインとしては、エース大谷、そして広島を抑え込んだメンドーサらも第7戦に控えていると考えれば、むしろリラックスして気持ちで第6戦に臨めるかもしれない。

 当然、試合前から雨が降っていた第1戦では6回5安打3失点と本調子ではなかった大谷についても、野口氏は「前回は不甲斐ないピッチングでやられているし、(次の登板があれば)絶対にやり返すという気持ちで来るはずです」と予想する。現時点では「内弁慶シリーズ」となっているが、栗山監督が下した「第6戦の先発・増井」という決断で流れは変わるだろうか。

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