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テレビ出演はステータスの象徴? 日米で見られるアスリートの露出の違い


日本ではオフになるとさまざまな番組にプロ野球選手が出演する機会が多くなる。その番組内容は多岐に渡り、スポーツニュースの1コーナーからバラエティ番組まで色んな役割でのテレビ出演を数多く目にする。

■テレビ番組出演に見る日米野球選手の違い

 日本ではオフになるとさまざまな番組にプロ野球選手が出演する機会が多くなる。その番組内容は多岐に渡り、スポーツニュースの1コーナーからバラエティ番組まで色んな役割でのテレビ出演を数多く目にする。今まではプロ野球に興味のなかった人たちがそこで初めて選手のことを知り、それがきっかけで球場に足を運ぶということにつながるということもあるだろう。

 日本で最近増えているのは芸能事務所がプロアスリートのマネジメントをしているケースである。オフのバラエティ番組でのテレビ出演が増えている理由は、そのことが関係しているように思う。

 また、選手個人だけではなく、一般社団法人プロ野球選手会主催で開催されるバトルスタジアムという場も存在する。こちらはチケットを購入したファンが観覧できるイベントではあるが、後日テレビでも放送されるため“テレビ向け”の要素も含まれている。昨年も各球団から3選手ずつが出場し、パ・リーグからも北海道日本ハムの大谷選手や、埼玉西武の秋山選手、福岡ソフトバンクの松田選手などリーグを代表する選手たちが参加した。

 グラウンド上では見ることができない選手の素顔や意外な一面を提供することでプロ野球の価値を高め、興味を持ってもらうことも一つの形であることは間違いない。一方メジャーリーグの選手たちは日本のプロ野球選手たちのようなテレビ出演をする者はいるのだろうか?

■米国でのテレビ番組出演は名選手ばかり

 私も全ての地域の各局を把握できているわけではないため、一個人としての認識になってしまうが、メジャーリーガーが日本のようにバラエティ番組などに出演することはほとんどない。映画のワンシーンや、トーク番組に出演する選手はたまにいるが、それは多くの場合が自身のステータスを象徴するものである。

 アメリカのバラエティで長寿番組の一つであるサタデー・ナイト・ライブという番組にアスリートやメジャーリーガーが出演し、コントに参加した例もある。だがそれらに出演した面々を見ていくと、そうそうたる名ばかりでメジャーリーガーではデリック・ジーター選手やノーマー・ガルシアパーラ選手などに限っている。

 サンフランシスコ・ジャイアンツに所属するハンター・ペンス選手がサンフランシスコを舞台とした人気ドラマシリーズ「フラー・ハウス」に本人役として出演したことがある。コメディードラマシリーズではあるが、ペンス選手の所属しているジャイアンツがホームとしているサンフランシスコを舞台にしていて、本人役として出演していることからマイナスな要素はなかったように思う。さらには、野球界では有名になりつつあった彼のキャラクターを良い形で露出する舞台にもなった。

 日本ではマイアミ・マーリンズに所属するイチロー選手が某ドラマに出演したときを連想させる。有名ドラマに本人役として出演し、自らのイメージやブランディングから大きく外れるものではなかった記憶がある。

■ソーシャルメディアを使っての露出の効果は…

 メジャーリーガーのテレビ出演は少ないかもしれないが、地元の他スポーツの試合に姿を現すのは、1つの露出の形でもある。米国では野球のない時期はバスケットボールやアメリカンフットボールのシーズンの真っ只中である。他競技の試合に顔を出すことで、地元愛などのイメージアップにもつながる。これを意図して行う選手は少ないだろうが、実際オフ期間中も所属している球団のホームタウンにいるとファンが知れば自然とうれしくなるものだ。

 テレビ出演をしなくても、また、オフを本拠地で過ごしていなくても選手は個々のブランディングが可能な時代となった。さまざまなソーシャルメディアが存在するため、それらを活用することでファンとの距離も近くなった。パ・リーグ各球団もシーズン中だけでなく、オフもソーシャルメディアを使って選手の様子などを伝えている。だが主に個人が使う場合、活用方法を誤れば思わぬトラブルにも繋がる可能性もあるため、オフの間も注意して発信していく必要があるだろう。せっかく自らの言葉で発信しているにも関わらず、それが違った形で“出演”してしまっては、元も子もない。

 オフの活動はさまざまであり、番組出演もそれぞれの意図やキャラクターに沿ったものであれば良い効果を生むだろう。選手たちにとってこれからの番組出演が1つのステータスの象徴となるような良い形での露出として増えていくことを願う。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」新川諒●文

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