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刺激し合った3年の歳月 伝説の決勝投げ抜いた田口麗斗&山岡泰輔が紡ぐ物語


山岡泰輔投手(東京ガス)がオリックスからドラフト1位で指名された。172センチの小さな体から伸びのある最速152キロのストレートを投げる。高速スライダー、高速チェンジアップも投げ分ける右腕で社会人ナンバーワンの呼び声が高い。U18やU21といった日本代表のユニホームも着て、経験は十分。そんな山岡が脚光を浴びたのは瀬戸内高校3年の夏の広島県大会の決勝だった。

■伝説の広島県大会決勝から3年、プロの舞台で再び始まるライバル投手の戦い

 山岡泰輔投手(東京ガス)がオリックスからドラフト1位で指名された。172センチの小さな体から伸びのある最速152キロのストレートを投げる。高速スライダー、高速チェンジアップも投げ分ける右腕で社会人ナンバーワンの呼び声が高い。U18やU21といった日本代表のユニホームも着て、経験は十分。そんな山岡が脚光を浴びたのは瀬戸内高校3年の夏の広島県大会の決勝だった。

 2013年7月28日。広島新庄との決勝戦だった。相手エースは今季、巨人で10勝をマークした田口麗斗投手。瀬戸内高のエース・山岡は9回1死までノーヒットノーランペースの快投だった。しかし、援護点はなく、スコアは延長15回、0-0の引き分け。15回1安打15奪三振だった。一方、広島新庄の田口も譲らず。13安打5四死球ながら、持ち前のスライダーを武器に19奪三振。失点のピンチもあったが、こちらも15回無失点に切り抜けた。

 2日後の30日に再試合。この試合も投手戦に。0-0の8回に瀬戸内が田口から先制し、そのまま逃げ切った。山岡は5安打完封勝利。瀬戸内が甲子園行きを決めた。田口は8回5安打1失点と惜しくも敗れた。勝者と敗者になったが、2人は爽やかに健闘を称え合い、熱い夏を終えた。

 高校野球を終えた田口は、高校野球を引退した初めての夏休み。甲子園のアルプススタンドにいた。理由は山岡を応援するためだった。自分は甲子園に出られなかったがライバルの姿を目に焼き付けた。

■お互いの試合を注目し続けてきた2投手

 その年のドラフト会議で田口は巨人にドラフト3位指名を受け、一足早くプロへ。山岡は3年後のプロ入りを目指し、東京ガスに進んだ。「僕にとってはとても刺激になる存在です」と田口。山岡も「早く田口に追いつけるように頑張りたい」とそれぞれの道を歩み始めた。

 田口は昨年4月の東京ドームでのヤクルト戦で先発し、2年目でプロ初勝利を飾った。7回を投げて被安打5の1失点。自らのバットで内野安打ながらもタイムリーを放った。走者を出しても粘りのピッチング。完璧じゃなくても、がむしゃらだった。

 その試合を、今度は社会人2年目になっていた山岡がスタンドで見ていた。「アイツらしい勝ち方だった思います」と2年前の夏の投げ合いを思い出しながら、一生懸命にバッターを抑え込む気迫の田口の投球に刺激を受けていた。

 今年も田口が休養日を利用して、山岡の社会人の試合を見に行く姿があった。伝説の広島決勝の試合は有名だが、その後も関係性は続いている。お互いにいつも刺激し合いながら、ステップアップしている2人。世代を代表する2投手はこれからいくつもの熱戦を演じていくだろう。

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