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剛腕チャップマン、“WS史上最速”の体感速度169キロ計測「フェアじゃない」


カブスの守護神アロルディス・チャップマン投手が26日(日本時間27日)に“ワールドシリーズ史上最速”を記録したとMLB公式サイトが伝えている。

■WS初登板で剛球を披露、快投でカブスを勝利に導く

 カブスの守護神アロルディス・チャップマン投手が26日(日本時間27日)に“ワールドシリーズ史上最速”を記録したとMLB公式サイトが伝えている。

 チャップマンはインディアンスとのワールドシリーズ第2戦で4点リードの8回2死一塁で登板。先頭のラミレスを空振り三振に仕留めると、9回は2死からガイヤーを四球で歩かせたが、続くペレスは遊ゴロで試合終了。1回1/3を無安打無失点2奪三振1四球の快投で、4-1での勝利に貢献した。

 記事では「チャップマンがマウンドに上がる度、彼は球速に関する何かしらの記録を打ち立てている印象だ」と指摘。「ワールドシリーズ第2戦もまさにその通りとなり、チャップマンがホセ・ラミレスに投じた初球の101.5マイル(約163.4キロ)の速球は、ワールドシリーズで計測された最速の一球となった。これはPitch-f/xが導入された2008年以降で最速だ。ロイヤルズのケルビン・ヘレ―ラが2014年のワールドシリーズ第2戦で投じた101.4マイル(約163.3キロ)を上回った」と伝えている。Pitch-f/xとは、投球速度や投球軌道を追跡するスピード測定器システムだ。

 ただ、当然、チャップマンにとって、この球速は序の口。初のワールドシリーズで、投球はさらに凄みを増していった。「チャップマンはここで止まらない。(9回に)ココ・クリスプを(ニゴロに)打ちとった一球は104.1マイル(約167.6キロ)であった。チャップマンはポストシーズンを含むこれまでのキャリアで104マイルに28回達している」。記事では、剛球左腕の驚異的な投球について、こう紹介している。

 そして、チャップマンが投じるボールは、打者にとっては更に早く感じているという衝撃的な事実も伝えている。「彼にはこれよりももっと速く見せる術がある」というのだ。どういうことか。

■今季の体感速度ランキングで200位までのうち196個の記録を独占

「マウンドからの距離、60フィート6インチ(約18.44m)はあくまでも目安でしかない。ラバー(プレート)に触れている限り、投手はバッター寄りの位置でボールを投じることができる。これは『エクステンション』とよばれ、直球に関してのMLBの平均はマウンドから6.2フィート(約1.89m)の位置である」

 MLBの投手は、平均して1.89メートル打者に近い位置でボールをリリースしているというが、手足の長いチャップマンの『エクステンション』はこれを上回るというのだ。

「しかし、チャップマンの平均値は6.8フィート(約2.07m)であり、ラミレスを空振り三振に仕留めた一球は7.1フィート(約2.16m)まで伸びていた。そのため、この一球は103.1マイルであったが、打者により近い位置で投じられたため、体感速度(perceived velocity)は105.1マイル(約169.2キロ)となった。これも、もちろんワールドシリーズで最速記録だ」

 実際の球速だけでなく、この体感速度でもチャップマンはメジャーで図抜けた存在だという。「チャップマンは今季、13回体感速度(perceived velocity)で105マイルに到達しており、体感速度(perceived velocity)ランキングでは128位までの記録を独占している」。実際に、MLB公式サイトで見られる今季の体感速度ランキングは、128位までをチャップマンが独占。129位タイでようやくマウリシオ・カブレラ(ブレーブス)の名前が103.36マイル(約166.4キロ)で登場するが、その後はさらに145位までチャップマンの名前が続く。200位までのうち実に196個の記録をチャップマンが占めている。

 記事は「チャップマンは誰よりも速いボールを投げ、平均よりも打者寄りでボールを離している。もはや単純にフェアではない」という文章で締めくくっている。インディアンスでは中継ぎミラー、守護神アレンの2人が注目を浴びているが、世界最速左腕の存在はカブスにとって心強いばかりだ。

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