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高校野球

開幕戦登場の埼玉屈指の進学校・開智 東大や防衛大志望の好素材らで上位狙う

7月8日に開幕する第99回全国高校野球選手権埼玉大会。その開幕戦で大宮光陵と対戦するのが県トップレベルの私立進学校・開智高校(さいたま市岩槻区)だ。

 勉強最優先の学校方針のために、月曜日と木曜日の部活動は禁止で午後6時すぎまで授業がある。その他の平日も午後6時完全下校のため、練習は2時間にも満たない。土曜日にも授業があり、日曜日には模擬試験が月1回ほど入るため練習試合も多くは組めない。
 そんな限られた条件のもとで練習を積むが、昨秋に県16強入りを果たすなど下級生時から主力だった3年生が多い今夏は上位進出を狙う力がある。

「親御さんの協力もあり良い雰囲気で野球ができている」と篠崎優監督

 チームの大黒柱は「1番・遊撃手」で主将を務める飯村俊祐だ。「1回の練習や試合でどれだけ多くのことを学べるかを大切にしています。その中で振り返りを大事にして、次は何をすべきか優先順位をつけることが大切だと思っています」という言葉に聡明さや芯の強さを感じる。
 篠崎優監督は「人の言うこともしっかり聞くし、統率力も抜群です」と全幅の信頼を置き、「ここで30年以上指導してきた中で1番のセンスを持っており、走攻守すべてにおいてトップレベル」と能力の高さにも太鼓判を押す。
 身長171cmと決して大きくはないが73kgのがっしりとした体格だ。それでいて50mを6秒03で走る俊足、攻守でのキレの良い動きに体幹の強さを感じる右投右打の遊撃手だ。
 そんな飯村の志望進路は日本最難関の東京大学だ。「神宮でプレーして他の大学を倒してみたいです」と語る。一方でNPB球団のスカウトは「東京六大学の東大以外でもレギュラーを獲れる力がある。母校に欲しい選手です」と話す。

チームの大黒柱・飯村。遊撃手として守備範囲の広さや強肩も光る

 また、浦和ボーイズ(中学硬式)から飯村とともにプレーする福島一棋は「自分は自由なところより厳しい環境に身を置いた方がいいので」と防衛大志望だ。その強肩強打でエース兼主軸、登板時以外は捕手を務める。昨夏は敗れたものの浦和実を2失点に抑え、昨秋は武南を1失点で完投勝利するなど今夏のシード校を相手にも堂々の投球を見せており「強豪にも勝てる可能性はあると感じました」と手応えを掴んでいる。
「飯村に“開幕戦だけは引くなよ”と何回も言ったんですけどね(笑)でも注目もされるので、“開智も意外と野球できるんだな”ということを見せていきたいです」と笑顔で力強く語った。

 2年前も開幕戦を戦い、その際は新座総合技術に8対7で勝利している。その当時から主力の飯村や福島を中心とした秀才集団が、どのような野球で埼玉の夏の幕開けを彩るのか注目したい。

強肩を生かして、投手・捕手を務める福島

チーム一の成長株で献身的な働きをする「2番・二塁手」の深谷昂平(写真上)

福島とともに投手・捕手を務める市川翔汰(写真下)小柄ながら、ともにチームには欠かせない存在だ

文・写真=高木遊