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細川退団はホークスの来季にどう影響? 若手育成急務も世代交代の難しさ


衝撃的な知らせが舞い込んできた。10月24日のこと。ソフトバンクの細川亨捕手(36)が今季限りで退団することが発表された。この日からスタートした秋季練習に、ただ1人スーツ姿で現れた細川は練習開始前のチームメートへの挨拶を済ませると、ロッカーを整理し、大量の荷物を本拠地ヤフオクドームから運び出した。

■来季構想から外れた細川、他球団で現役続行の道を模索

 衝撃的な知らせが舞い込んできた。10月24日のこと。ソフトバンクの細川亨捕手(36)が今季限りで退団することが発表された。この日からスタートした秋季練習に、ただ1人スーツ姿で現れた細川は練習開始前のチームメートへの挨拶を済ませると、ロッカーを整理し、大量の荷物を本拠地ヤフオクドームから運び出した。

 来季の戦力構想から外れ、球団からは現役を引退してのバッテリーコーチ就任を打診されたが、細川本人が現役続行を強く希望。6年間在籍したソフトバンクを退団し、他球団でプレーを続ける道を選択した。

 戦力構想から外れた――。このソフトバンクの決断は来季にどう影響するのか。「ポスト細川」の育成はそう簡単にいかない可能性もある。

 今季の捕手の出場数はこのようになっている。

鶴岡慎也 103試合(先発67、途中36)
細川亨 49試合(先発36、途中13)
高谷裕亮 37試合(先発30、途中7)
斐紹 13試合(先発10、途中3)
拓也 13試合(先発0、途中12、途中DH1)

 36歳の細川は、ケガの影響などもあって開幕をファームで迎え、1軍に今季初昇格したのは6月19日になってから。それでも、球界屈指とも言われるリード面はさすがで、昇格後は徐々に先発マスクを被る機会を増やしていった。

 右太もも裏肉離れでの登録抹消はあったが、日本ハムとのマッチレースとなった終盤戦は数多くの試合で先発。クライマックスシリーズでも7試合中5試合に先発しており、チームに不可欠な存在だった。

■信頼厚かったベテラン捕手、来季は「強敵」として立ちはだかる可能性も

 一方で、今季最もマスクを被ったのは、35歳の鶴岡。開幕後から先発マスクを被り続け、103試合に出場。それに、34歳の高谷が続いていた。だが、開幕後からチームは圧倒的な被本塁打数に悩まされており、リード面での不安を露呈させていたのも事実。打撃面は鶴岡に分があるが、ことリードに関していえば、細川の右に出る捕手は、チーム内には存在しなかった。だからこそ、工藤公康監督は終盤戦やクライマックスシリーズで細川を中心に起用していたのだろう。その重要性は、ファンも感じていたはずだ。

 今後は若手への世代交代も必要となるが、当面は30代中盤の鶴岡、高谷が捕手の中心だろう。この2人に続くのは斐紹、拓也。そして、育成から今季支配下登録された張本優大、2年目の栗原陵矢、1年目の谷川原健太、ドラフトで秀学館高の九鬼隆平を3位指名した。とはいえ、拓也、斐紹もまだ1軍での経験は浅く、常勝を義務づけられているソフトバンクで正捕手を担うまでにはさらなる成長が求められる。張本、栗原、谷川原、九鬼の4人に関しても今後、ファームで経験を積むことが優先となるだろう。

 一方、経験豊かな細川はリード面だけでなく、投手の観察眼など様々な面で投手、野手問わず、チームメートから絶大な信頼を受けていた。今季の働きを見ても、卓越したリードなどは周囲から評価されている。しかも、常勝軍団を築いたソフトバンクの中心。何にも代え難いデータも、その頭の中に入っている。獲得したい球団は必ずあるだろう。すでに退団の報を受けて、一部では他球団が獲得の調査に乗り出すとも報じられている。

 ソフトバンクは、来季からその細川を敵に回すことになる。獲得した球団は、その存在をフルに活用してくることだろう。決して、その穴を簡単に埋められないチーム状況もある。「細川退団」はソフトバンクの来季に、思った以上の影響を与えるかもしれない。

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