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ニューヨークに現れたスーパースター候補 MLBオールスターゲーム出場へ

写真提供=共同通信社

「All Rise(みんな立ち上がれ)」———。そんなキャッチコピーとともに、ヤンキースに誕生した新たなスーパースター候補がニューヨークを沸かせている。身長約200.7cm、体重約104.3kgの大型外野手、アーロン・ジャッジが前半戦は三冠王も狙えるペース(7月2日終了時で打率.333、27本塁打、62打点)で大活躍。オールスターのファン投票でもア・リーグ最大の得票数で初出場を決めるなど、その人気はあっという間に全国区に達しようとしている。

 ジャッジの魅力はやはりその稀有なパワー。巨体と鋭いスイングから飛ばされる打球は圧倒的で、今季ここまでに周囲の度肝を抜くほどの大ホームランを何度も飛ばしてきた。打率が示す通り、確実性も備えたジャッジの打席からファンは決して目が離せない。「All Rise」というフレーズも、スター性を分かりやすく表現していると言って良いだろう。
 「毎日、何かを成し遂げたいと思いながらプレーしている。打席に立ったら、今が自分のための瞬間だと考えるようにしているんだ」
 そう語るジャッジは、瞬く間にチーム1の人気選手になった。デレック・ジーター、マリアーノ・リベラ、アレックス・ロドリゲスといったスーパースターが相次いで引退して以降、ヤンキースにはファンを惹きつけられる選手が少なくなったと言われて久しい。そんな伝統チームにとって、昨季最初の51試合で20本塁打を放ったゲイリー・サンチェス捕手に続き、生え抜きの新たなスターが出てきたことの意味は大きい。

 最近のジャッジはジョー・ジラルディ監督をはじめ、一部の関係者からジーターに比較されるようにもなっている。オールラウンドな遊撃手だったジーターと典型的なスラッガーのジャッジではかなりタイプが違うが、必ずしも選手として似ているという意味ではない。
 若くして冷静沈着で、常に勝利を予期し、メディアにも丁寧に対応する。昨季、メジャー昇格直後のジャッジは実は84打席42三振と苦しんだのだが、それでも姿勢自体は変わらなかった。そんなジャッジの成熟した態度に、ヤンキース史上に残るキャプテンと共通点があると見られているのである。
 「ベースボールを長くプレーできるわけではない。遊びまわって時間を無駄にしたくはない。できる限りのことをやりたいんだ」
 長いシーズンの中ではアップ&ダウンがあるはずだが、こうやって謙虚さを保つ限り、ジャッジの前途は洋々。同時にヤンキースの未来も明るい。怪物スラッガーは今後も周囲の度肝を抜くような特大本塁打を放ち、ヤンキースの新たな呼び物として君臨し続けるに違いない。