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V3を逃したホークスの誤算…埋められなかった李大浩の穴


日本ハムに一時つけた最大11・5ゲーム差をひっくり返され、3年連続のリーグ優勝を逃したソフトバンク。シーズン序盤は圧倒的な強さを見せながら、V逸の要因となったのは何だったのか。ソフトバンクの誤算を探る第3回は「野手陣」に焦点を当てる。

■ホークスV逸の要因を振り返る、野手編

 日本ハムに一時つけた最大11・5ゲーム差をひっくり返され、3年連続のリーグ優勝を逃したソフトバンク。シーズン序盤は圧倒的な強さを見せながら、V逸の要因となったのは何だったのか。

 ソフトバンクの誤算を探る第3回は「野手陣」に焦点を当てる。

 圧倒的な強さでリーグ2連覇を達成した2015年と今季のチーム打撃成績を比較してみると以下のようになる。

〇2015年
総得点651 チーム本塁打141 チーム打率.267

〇2016年
総得点637 チーム本塁打121 チーム打率.261

 チーム総得点は昨季と大差はなく、2年連続でリーグトップの数字を残している。一方でチーム本塁打は20本減少。チーム打率もわずかながら低下している。

 今季がスタートする前から、打線で最大の懸案とされていたのは、メジャーへと移籍した李大浩の穴をいかに埋めるか、だった。工藤公康監督は長谷川勇也を中心に、上林誠知、福田秀平ら若手の起用でしのげると考えていた。

■覚醒が期待された上林はオープン戦中から不振に

 ここで1つの誤算が生じた。長谷川が14年オフに手術した右足首の状態が思わしくなかったのだ。数試合に出場すると足首だけでなく様々な箇所に負担がかかり、張りや痛みが出た。足場の固い人工芝のグラウンドで守備に就くと、その負担はさらに増した。

 122試合に出場し、うち先発出場は101試合にとどまった。負傷の影響もあって、打撃の状態は最多安打のタイトルを獲得した13年のようにはならず、打率.271、10本塁打、51打点に終わった。

 今季の覚醒が期待された上林はオープン戦中から不振に陥り、開幕2軍。6月に1軍昇格したものの、14試合で19打数4安打の打率.211。7月にはファームに降格した。

 3番を打つ柳田も他球団からの徹底的なマークもあって前年から数字を落とした。松田はシーズンを通して状態がなかなか上向かなかった印象が強く、27本塁打を放ったものの、打率.259。チーム全体として、15年に打率.282、31本塁打、98打点を挙げた李大浩の穴を埋められなかったと言わざるを得ない。

 月別のチームの勝敗と打撃成績を見てみる。

■響いた7月の失速、打線全体が機能不全に

〇3、4月 14勝8敗3分 打率.258 17本塁打 125得点
〇5月 18勝5敗1分 打率.273 26本塁打 120得点
〇6月 16勝6敗1分 打率.279 25本塁打 106得点
〇7月 11勝11敗0分 打率.232 12本塁打 63得点
〇8月 11勝14敗0分 打率.254 19本塁打 107得点
〇9月 13勝9敗1分 打率.274 15本塁打 116得点
〇10月 0勝1敗0分 打率.172 0本塁打 0得点

 1つのポイントになったのは7月。試合数が少ないとはいえ、全体的に打撃が著しく低調だったことが分かる。苦手としていた日本ハムの有原、高梨、オリックスの金子、西、ロッテの涌井といった各球団のエースクラスとの対戦が続いたこともあり、柳田、松田、内川といった主軸のバットも一斉に湿った。

 強かった時のソフトバンクは、誰かが調子を落とすと別の人間が打ってカバーするという相互補完が際立ち、強さを保っていた。それが7月、打線全体が機能不全に陥った。松田を1番に起用してみるなどの試行錯誤も大きな効果があったとは言い難い。この7、8月の失速が結果的に日本ハムの接近を許してしまった。

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