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オリックス・福田周平の秘めた能力 12球団トップの「空振り率」&「進塁打率」【NISSAN BASEBALL LAB】

【写真提供:共同通信】

 

 2019年のペナントレースを終え、各球団、選手たちは早くも来季へ向けて準備を進めている。そこで改めて今季の選手の活躍をデータで振り返ると、表面的にはなかなか現れない「数値」の中で「過小評価」されている選手がいる。その一人が、オリックスのプロ2年目、福田周平である。

■プロ2年間で通算打率.255も…

 1988年生まれの27歳。広陵高から明治大、NTT東日本を経て、2017年秋のドラフト会議でオリックスから3位指名を受けてプロ入りした福田。身長167センチと小柄な左打者だが、高い運動能力を走攻守で発揮する俊足巧打の内野手である。

 即戦力の期待通り、プロ1年目から1軍113試合に出場し、後半戦からは二塁手のレギュラーに定着して、1番もしくは2番の打順を務めた。そして2年目の今季は開幕から「1番・セカンド」として出場。最終的に135試合に出場し、打率.250、2本塁打、25打点をマーク。上位打線として打率に関しては不満が残るが、リーグ2位タイの30盗塁、そして規定打席到達者ではチーム2位の出塁率.342は評価に値する(表1)。

■最も空振りする確率が低かった打者

 盗塁数と出塁率で合格点と言える成績を残した今季の福田だが、それ以上に「12球団トップ」を叩き出した数値がある。それが「空振り率」だ(表2)。

 総投球数に対して空振りした割合(空振りの数を投球数で割って算出)である「空振り率」。この数値が低ければ、それだけ投球に対してのバットのコンタクト率が高く、粘り強いバッティングが可能となり、投手からすると「いやらしいバッター」であると言える。

 そして今季の福田の「空振り率」は.030。近藤健介(日本ハム)を上回っての堂々の1位を誇った。打率.250に留まったが、この「空振りをしない」能力の評価が、今後の「打率大幅アップ」に繋がる可能性は十分にある。その能力を秘めている打者であると言える。

■自己犠牲のバッティングで

 もう一つ、福田が今季、「12球団トップ」だった数値がある。それが「進塁打率」である(表3)。

 自らがアウトになっても塁上の味方走者を次の塁に進塁させる。この自己犠牲のバッティングが打線に繋がりをもたらし、得点のチャンスを広げる。今季の福田は進塁打率.538。「引っ張っての内野ゴロ」が、結果的に「送りバント」と同じ形となる場合が多く、必然的に左打者が上位を占めるランキングとなっているが、その中でもチームメイトである吉田正尚を筆頭に並み居る好打者を上回っての12球団ナンバーワンだった。この数値に関してはもっと注目され、福田の働きは評価されるべきだろう。

 このように「影の働き」を重ねた中で、今季はパ・リーグ歴代8位の45試合連続出塁も記録した。来季の福田は、果たしてどんな活躍を見せてくれるのか。今季、12球団トップの「空振り率」と「進塁打率」をマークした能力があれば、今以上の活躍が期待できるはずである。

文:三和直樹