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中日ドラフト指名の郡司とエース高橋の快投などで慶大19年ぶりV。大久保監督有終の美【11/20第五十回記念明治神宮野球大会・大学の部決勝 慶應義塾大vs関西大】

 11月20日、五十回記念明治神宮野球大会・大学の部決勝が行われ、今季限りで退任する大久保秀昭監督率いる慶應義塾大(東京六大学野球代表)が関西大(関西五連盟第一代表)に8対0と快勝し19年ぶり4回目の優勝を飾った。

優勝が決まり抱き合う郡司と高橋

★7回まで完全投球

 慶應義塾大は初回から郡司裕也(4年・仙台育英)の2ラン本塁打で幸先よく先制すると、郡司が「100点満点をあげたいくらい」と振り返ったように先発の高橋佑樹(4年・川越東)が快投を見せる。
「郡司の本塁打のおかげで楽に試合に入れました」と初回を簡単に三者凡退に抑えると、以降もキレの良さと緩急が際立つ投球で7回まで1人の走者も許さない完璧な投球を見せる。

 すると打線は8回、2回以降抑えられていた森翔平(4年・鳥取商)から連打を放ってチャンスを作ると、ここで投入された関西大2番手・肥後皓介(4年・広陵)から郡司がライト前にしぶとく運び2点を追加。さらに瀬戸西純(3年・慶應義塾高)の2点タイムリーも飛び出し、この回一挙4得点で試合を決めた。

 高橋は8回裏の先頭打者に安打を浴びて完全試合こそ逃したものの、9回にさらなるダメ押し点をもらうと、9回も無失点に抑えて3安打完封勝利。マウンドで両手を挙げて飛び跳ね、歓喜の輪の中心となった。

★4年間の成長を存分に発揮

 先月のドラフト会議で中日にドラフト4位指名された郡司は、仙台育英高3年の夏に甲子園準優勝。その際に、あと一歩届かなかった全国の頂点へついに登り詰めた。

 早慶戦を見て、幼い頃から慶應のユニフォームに憧れ続けてきた。大学で念願を叶えると1年秋に正捕手に。捕手出身の大久保監督のもとで様々なことを吸収し「大局観を持ってプレーできるようになりました」と大きな成長を遂げた。そして今年は正捕手兼4番打者兼主将という大黒柱としてチームを支えた。

 第1打席の本塁打は「外角を見せてから内角のストレートが来ると思いました」と狙い澄ました一打。リード面では高橋の走っていたストレートを生かした配球で変化球にも的を絞らせないなど、攻守で学生野球の集大成を遺憾無く見せつけて、最高の締めくくりを飾った。

郡司は「大久保監督には感謝してもしきれないですし、仲間にも恵まれた学生野球人生でした」とし、「これからも人との出会いを大切にしていきたいです」と語った

■決勝:慶應義塾大vs関西大
慶應義塾大 200000042=8
関西大   000000000=0
【慶】○高橋-郡司
【関】●森、肥後、高野
本塁打:慶應義塾大・郡司(1回2ラン)

◎慶應義塾大・大久保秀昭監督
「この1年で最高の試合をしようと送り出しました。無四球無失策と、して欲しいと思った野球をやってくれました。めちゃくちゃ嬉しい。4年生がメンバー外も含めて最高のチームでした。学生たちと向き合えた5年間。選手たちに感謝しかありません」

◎慶應義塾大・高橋佑樹
「森田も後ろに控えていたので最初から全力で投げました。今日は全部良かったです。中学・高校と準優勝ばかりだったので不安はありましたが、今朝は“この日勝つために負け続けたんだ”と思うようにしました。データが少ない中で分析してくれたデータ班と、それを噛み砕いてリードしてくれた郡司のおかげです」

◎関西大・早瀬万豊監督
「リーグ戦から選手たちは素晴らしい戦いをしてくれましたし、日本一の応援をしてくれました。下級生も多いのでこの悔しさを力にしていかなくてはいけません」

充実した表情で喜びを噛みしめる大久保監督と選手たち①

充実した表情で喜びを噛みしめる大久保監督と選手たち②

文=高木遊
写真=馬場遼、中西陽香