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松島、髙橋の継投で中京大中京が勝利!無敗で秋の頂点に立つ【11/20第五十回記念明治神宮野球大会・高校の部決勝 中京大中京vs健大高崎】

東海地区代表の中京大中京が逆転で健大高崎を下して初優勝。この秋を公式戦無敗で終えた。

愛知県大会から無敗で全国の頂点に立った中京大中京

 中京大中京の先発はエースの髙橋宏斗(2年)ではなく、背番号10の松島元希(2年)だった。高橋源一郎監督は松島の成長を期待して大一番を託したという。
「髙橋が注目されてきて、県大会、東海大会と柱として引っ張ってくれました。その先を考えた時に1枚では全国では通用しないので、松島の成長が神宮大会の1つのポイントでした。この大会を通して2枚看板として経験と自信を積ませたいと思っていました」

 しかし、準決勝の天理戦では指揮官の期待に応えることができず、5回6失点と打ち込まれた。この日も先制してもらった直後の2回表に二死から3連打を浴びて逆転を許すなど、不安定な面もあったが、5回3失点と試合を作る。「これで本人の自信になりますし、チームにとっても凄く大きな経験だと思います」と高橋監督も春以降に向けて、手応えを感じている様子だった。

 1点リードの6回表からは満を持して髙橋がマウンドに上がる。中1日とはいえ、3試合連続の登板。疲労もあり、「ストレートの空振りが少なかったので、自分の中で今一つ球が走っていないと感じました」と本来の調子ではなかった。

 その中でも臨機応変な投球を見せる。捕手で主将の印出太一(2年)と話し合い、この日は制球重視で攻めることを決めた。この日の最速は145㎞/hと自己最速に3㎞/h及ばなかったが、「丁寧に投げることはできたと思います」と打たせて取る投球を披露。三振は一つも奪えなかったが、勢いのあるボールで相手打者を詰まらせ、1本も安打を許さなかった。

髙橋は本来の出来ではなかったが、4回を投げて健大高崎打線を無安打に抑えた

 チームとしては2009年夏の甲子園以来となる全国制覇となる。新チーム結成以来、神宮大会を目標にチーム一丸となって、練習に取り組んできた。「掲げた目標に向かって子どもたちが積み上げてきた成果だと思います。この大会を通して、チームワークが成長できました」と高橋監督は選手たちの成長ぶりを讃えていた。

 髙橋、松島の投手2枚看板に4番の印出や3番・遊撃手の中山礼都(2年)などタレント揃いとして大会前から注目を浴びていた中京大中京。初戦の明徳義塾戦では8点を奪って7回コールドと破壊力を見せた一方で、準決勝、決勝は1点差のゲームを勝ち切り、勝負強さもつけてきた。

 来春のセンバツでも当然、優勝候補として名前が挙げられるだろう。全国のライバルから追われる立場となったが、「嬉しさを切り替えて、投打にレベルアップしないといけない」と高橋監督を筆頭に気の緩みはない。松坂大輔らを擁した1998年の横浜以来、公式戦無敗で1年を終えることができるだろうか。

■決勝:中京大中京vs健大高崎
健大高崎  020100000=3
中京大中京 10300000×=4
【健】●橋本拳、櫻井、長谷川-戸丸
【中】○松島、髙橋宏-印出

◎健大高崎・青栁博文監督
「点差以上に力の差を感じました。145㎞/hくらいの球を打てないと、甲子園では勝てないと思います。選手たちの成長を肌で感じられる大会になりました。最後まで諦めない姿勢が出てきて、どんな逆境でも何とかなるという雰囲気が出てきました。センバツではこの悔しさを晴らせるように冬場に準備して、頑張りたいと思います」

文=馬場遼
写真=中西陽香