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あのバケツが野球の殿堂へ!ブームで終わらないアメリカのチャリティー

©BOSTON RED SOX


◆2014年にスタートしたALSアイスバケツチャレンジ

2014年、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、日本など様々な国で2800万人以上が参加し話題となった「アイスバケツチャレンジ」。みなさんの中にも、友人からの指名を受けて氷水を被った人がいるかもしれない。

アメリカのスポーツ界で氷水が『祝福』を意味することから、氷水を被るチャリティーの運動はそれ以前にも行われていたが、2012年に筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症したボストンカレッジの元野球選手ピート・フレイツ氏の父が「息子を元気づけるために」と氷水を被ったことで、ボストンを中心に「ALSアイスバケツチャレンジ」として一気に広がった。

このキャンペーンが爆発的な広がりを見せると、アメリカだけでなく各国で「水の無駄遣いだ」「ALSの理解にはつながらない」といった批判も生まれたが、認知度向上で大幅に増えた寄付金がALSの研究プロジェクトを支えることになり、ALS治療において重要なNEK1遺伝子が発見されるなど、大きな成果があったことが昨年報道された。

◆支援のシンボルが“野球の歴史”の一つに

日本では一時のブームで終わってしまったこのキャンペーンだが、アメリカのスポーツ界では今でもALSへの支援が続いている。その一つが、キャンペーン拡散のきっかけとなったボストンに拠点を置くレッドソックスの「ALS アウェアネスゲーム」だ。

この試合はアイスバケツチャレンジの2年前、2012年からALSの認知度向上を目的に実施されており、毎年オープン戦で行われるレッドソックス対ボストンカレッジの試合がそれに該当する。6回目の今年は4月22日にレッドソックスの本拠地フェンウェイ・パークでボストンカレッジ対ノースカロライナステート戦が行われ、その収益がフレイツ氏を支援する「ピート・フレイツ#3ファンド」に寄付された。ALSアウェアネスゲームは来年以降も継続的に開催される予定だ。

そして、この度、2014年8月にフェンウェイ・パークでフレイツ氏がアイスバケツチャレンジを行った際に使ったバケツが、ニューヨーク郊外のクーパーズタウンにある『野球の殿堂』に展示されることになった。このキャンペーンのシンボルとなった古いバケツが、レジェンドたちのバットやユニフォームとともに“野球の歴史”として永久保存されることになったのだ。

野球をきっかけに広がった支援を、単なるブームで終わらせないアメリカの野球界。継続させること、形として残すことが、困難に直面する人たちの支援につながるだけでなく、スポーツの社会的価値を高めるためにも必要である――アメリカでスポーツに関わる人たちには、そういう共通認識があるのだろう。