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日本S第2戦の流れを決めたビデオ判定 メジャーでは恩恵カブスがWS進出


23日に行われた日本シリーズ第2戦(マツダスタジアム)は、広島が日本ハムを5-1で下し、2連勝を収めた。6回、広島の攻撃中に起きたビデオ判定を境に、流れは一気に広島へ。試合終盤、日本ハムは反撃の糸口すらつかめなかった。

■日本S第2戦は判定覆った後にたたみかけた広島が快勝

 23日に行われた日本シリーズ第2戦(マツダスタジアム)は、広島が日本ハムを5-1で下し、2連勝を収めた。序盤は1-1の均衡を保った試合だったが、6回、広島の攻撃中に起きたビデオ判定を境に、流れは一気に広島へ。試合終盤、日本ハムは反撃の糸口すらつかめなかった。

 試合のターニングポイントとなった場面を振り返ってみよう。

 1-1の同点で迎えた6回、無死二塁の場面だった。打席に立った2番・菊池が、日本ハムの先発・増井からバスターで左前打を放った。二塁走者だった田中は、一瞬スタートに手間取ったが、河田三塁コーチは腕を回し続ける「ゴー」のサイン。三塁ベースを回った田中が必死で左手を伸ばしながら本塁へ滑り込むと、中堅・西川からの好送球を受け取った捕手・大野がタッチをする。絶妙なクロスプレーに対し、球審はアウトの判定を下すが、広島の緒方監督がリプレー検証を要求。ビデオ判定の結果、田中の左手がホームベースに着くのが一瞬早かったとして、判定はセーフに覆った。マウンド上の増井は直後にタイムリーエラーを犯すなど、一気に4点を失い、勝負が決まった。

 先日、メジャーでも同じような場面があった。ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦のことだ。

 シリーズ開幕前はカブス有利の声が多い中、ドジャースが2勝1敗とリード。第2戦、第3戦とカブスを完封し、流れは完全にドジャース側にあった。本拠地開催という地の利もあり、試合開始前からドジャース優位の雰囲気が漂う中、迎えた2回裏だ。2死一、二塁という先制の好機を迎えたドジャースは、プレーオフで大活躍のトーレスが右翼へヒット。二塁走者のゴンザレスは本塁まで激走し、決死のヘッドスライディングをしたが、右翼・ヘイワードからストライク返球を受けた捕手・コントレラスがほぼ同時のタイミングでゴンザレスにタッチした。球審の判定はアウトだったが、ドジャースのロバーツ監督はリプレー検証を要求。テレビや球場で繰り返し流れる映像を見ると、ゴンザレスの指が先にホームプレートを触っているように見えたが、判定は覆らず、得点は認められなかった。

■メジャーでは判定を味方につけたカブスが3連勝でWS進出つかむ

 結局、試合はカブス打線が息を吹き返し、10-2で圧勝。この勝利で勢いづいたカブスは、ここから3連勝し、1945年以来71年ぶりとなるワールドシリーズ進出を決めた。一方のドジャースは、第4戦のビデオ判定で途切れた流れや勢いを取り戻せないまま、シーズン終了。結果として、ビデオ検証の判定が、両軍の命運を大きく分けることになった。

 日本シリーズ第2戦でのビデオ検証について、「機械に頼らず球審の判定を尊重すべき」「リプレーでしっかり検証した方が後腐れがない」など、さまざまな意見が出ている。メジャーでも、ビデオ判定が導入された当初は、「野球の本質が崩れる」「野球が無機質になる」などファンはもちろん、選手や監督・コーチなど現場から疑問の声が上がっていた。それでも、いったん制度に慣れてしまえば、これまでならばグレー判定のまま迷宮入りしていたプレーに、はっきり白黒がつくため、積極活用されるようになった。

 奇しくも、日本ハムの栗山監督が「これが今年の形なので」と言っているが、これからはリプレー検証で流れが変わる可能性も、野球の楽しみの1つに含めて考える必要があるのかもしれない。

 さて、広島を2連勝に導いた第2戦のビデオ検証は、試合の流れを変えただけにとどまるのか。あるいは、シリーズ全体の流れを決めてしまうのか。第3戦の勝敗に注目が集まる。

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