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指名漏れ桃太郎、阪神ドラ2右腕に教えられた「プロに行けない力の無さ」


仙台六大学のリーグ史に名を残した仙台大・松本桃太郎内野手(4年)の学生野球が終わった。「悔しさはないです。本当にないです。スッキリした感じです」。リーグの通算安打記録を120安打に更新した男の表情には、一点の曇りもなく、清々しかった。

■富士大に敗れて全国切符ならず、「ああいう投手と対戦して結果も出さないと」

 明治神宮野球大会の出場をかけた第8回東北地区大学野球代表決定戦の決勝戦が23日、宮城・仙台市民球場で行われた。仙台大は1-7で富士大に敗れ、初の明治神宮野球大会出場はならなかった。

 仙台六大学のリーグ史に名を残した仙台大・松本桃太郎内野手(4年)の学生野球が終わった。「悔しさはないです。本当にないです。スッキリした感じです」。リーグの通算安打記録を120安打に更新した男の表情には、一点の曇りもなく、清々しかった。

 プロ志望届を提出するも、20日のドラフト会議でプロからの指名はなかった。そんな松本が学生野球の最後に対戦した投手は阪神から2位指名された小野泰己(4年)。1打席目で右前打を放ったが、その後は2度の遊ゴロと中飛に打ち取られた。

「捉えても野手の正面に行ってしまう。捉えたらヒットゾーンに打てるようにならなければと思ったし、ああいうピッチャーと対戦して結果も出さないといけないと思う。プロに行くピッチャーのコントロールを見せつけられたし、ストレートの威力もあった。僕がプロに行けない力の無さを小野君に教えてもらいました。捉えたらヒットゾーンに落とせるように技術を磨いていきたいです」

 潔く“力負け”と認めた松本。卒業後は社会人野球のホンダ鈴鹿でプレーする予定で、解禁となる2年後のドラフト指名を待つ。「いい材料になったというか、勉強になりました。これから成長する糧になります」とさらなる飛躍を誓った。

■後輩に託した明治神宮大会出場、「悔しさを忘れないでほしい」

 1年春からレギュラーをつかみ、全8シーズン(91試合)でフル出場した。1年秋には打撃三冠など、タイトルを総なめ。2年春には67季ぶりのリーグ優勝に貢献し、一度も出場がなかった大学選手権には2、3年と2連続で出場した。4年秋もリーグ優勝を勝ち取り、初の明治神宮大会出場にあと一歩まで迫った。

 松本は4年間を振り返り、「終わってみるとあっという間だったが、仙台大の新しい時代を築けたと思う」と頷いた。森本吉謙監督は「桃太郎に限らず、今年の4年生は下級生から試合に出てきた。この選手たちのタテジマ(のユニホーム)が見納めになると思うとピンとこないが、4年間、一生懸命やってくれて感謝している」と話した。在学中にリーグ優勝3回、大学選手権出場2回と仙台大の歴史を大きく動かし、輝かせた学年。その中心に松本がいた。

 ゲームセット後、松本は「野球の負けは誰かのせいということはない。来年もあるので今日の悔しさを忘れないでほしい」と号泣する後輩の先発投手を励ました。先発するも、1回0/3を投げ、5安打5失点(自責3)で降板した岩佐政也投手(3年)は「絶対に抑えて4年生と神宮に行きたかったが、空回りして体が動きませんでした。モモさんには謝ることしかできなかったが、『お前は悪くない。来年、行けばいいから』と言われました。来年はピッチャーで勝てるチームを作りたいです」と目を赤くした。

「仙台大はここで終わってはいけない。勝ち続けるためにも後輩たちには頑張ってほしいです。僕は2年後に向けて階段を1段、1段、登っていきたいと思います」

 松本は自身を大きく成長させてくれた母校にエールを送り、誓いを新たにした。

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi

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