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社会人野球

日本文理大学が、明治神宮大会出場をかけた九州大学野球選手権大会を制し初優勝!

明治神宮大会出場をかけた「第23回 ユニバーシアード大会記念 九州大学野球選手権大会」の準決勝と決勝が10月22日、23日の両日にヤフオクドームで開催された。
決勝戦の顔合わせは日本文理大学(九州地区1位)と北九州市立大学(九州六大学1位)。勝てばいずれも初優勝、初めての神宮大会出場がかかった一戦を制したのは日本文理大学だった。
試合を動かしたのは4番打者だった。両チーム無得点で迎えた4回裏無死一塁で高橋修平(4年・福島/福岡県)が左翼席へ先制2ランを叩き込んだ。内角直球に上手く腕をたたんで反応した打撃に、「高めの球でした。内角を狙ったわけではありませんでしたが、次につなぐ意識で打ったのがよかったのかもしれません」と喜んだ。
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投げては左腕の坂本光士郎(4年・如水館)が好リリーフを見せた。先制した直後の5回表、先発した清松紳也(2年・龍谷)から無死二塁でバトンを受けた。前日の準決勝で九州共立大学を相手に3安打無四球完封しての連投マウンドだったが、「体の張りはなかった。とにかく1点もやらないつもりで投げた」と気迫を前面に出した。この回を140キロ台の直球で押し切ってゼロでしのぐと、その後のイニングは「春が終わって監督から教わったツーシームを多投した」と巧みな投球術でアウトを重ねた。終盤の8回裏にはまたも4番高橋のバットで追加点。左中間への適時二塁打で勝利を決定づけた。坂本は5イニングのロングリリーフでまたも零封し、3対0での完勝だった。
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日本文理大の中村壽博監督は「(8度目の挑戦で決勝戦を)初めて勝てました。長かったですね。相手もここまで勝ち上がってきたのだから強かったし、試合の中ではむしろ押されていた。ただ、4年生が本当によく頑張ってくれました」と笑顔で振り返った。
坂本も高橋も大学卒業後はともに新日鐵広畑で野球を続ける。「2年後のプロ入りを目指したい」と声をそろえた。高橋は「神宮大会ではドラフトで指名されたピッチャーも多く出ると思う。打ちたいですね」と早くも闘志をみなぎらせていた。
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ところで、準決勝までに残った4大学で、先のドラフト会議で名前が呼ばれたのは一人だけだった。日本経済大学の張奕(ちょう・やく)がオリックスに育成1位で指名された。
張は台湾出身。高校進学を機に来日し、福岡第一高校を経て日本経済大学に入学した。従兄は日本ハムで活躍する陽岱鋼で、張も同タイプのアスリート系の右打ち外野手だ。今秋のリーグ戦では4本塁打で福岡六大学リーグの本塁打王に輝いている。
 準決勝でチームは延長サヨナラ負けしたが、張は試合終盤の8回に一時勝ち越しとなるソロ本塁打を放つなど3安打をマークし気を吐いた。「このチームでもっと長くやりたかった。だけど、みんな力を出し切った結果。アイツ(後輩)らに期待したい」と大学最後となった試合に悔しさをにじませつつも、「個人的にも全力を出し切った。ヤフオクドームで本塁打を放ったのは初めて。ドラフト後初の試合だったけど、いつも通りやろうと思い、そのとおりにプレーできたと思います」と号泣するチームメイトとは対照的に涙はなかった。従兄である日本ハムの陽とは前日に電話で話をしてドラフト指名を祝福されたという。「アドバイスは特になかった(笑)。僕が目指すのも同じプレースタイル。今後も学んでいきたい」と新たなステージへ意欲を見せた。
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文・写真:田尻 耕太郎