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侍ジャパン

外れ1位でドラフト史上最多5球団の競合の佐々木(桜美林大)が完投。リーグ戦初優勝

ロッテドラフト1位・佐々木千隼が4年間の成長見せつけ史上初の快挙

★粘りの投球で歓喜に至る
 ロッテドラフト1位指名の歓喜から3日。また新たな勲章を桜美林大・佐々木千隼投手(4年・日野高)が手に入れた。
 最後の打者から空振り三振を奪って、首都大学野球秋季リーグ初優勝を決めると、佐々木は両手を天に突き上げ、歓喜の雄叫びを挙げると、すぐに仲間たちにもみくちゃにされた。 
 「勝てば優勝」という状況で迎えた対東海大2回戦。先発した佐々木は初回に球が甘くなったり抜けるなどし、いきな2失点を奪われるが、その後に粘りを見せた。
 味方が1点を返した後の4回裏には、三者連続三振を奪い、さらに流れを引き寄せた。すると直後の5回表、打線が佐々木の気迫に触発されたかのように、女房役の大平達樹捕手(3年・桜美林高)のタイムリーで同点に追いつくと、相手野選により逆転に成功。その後は何度も走者を許しながらも要所を締める投球で、東海大に同点のホームを踏ませず。視察に訪れたロッテ・永野吉成チーフスカウトが「彼の最も良い変化球」と評すシンカーで最後は空振り三振を奪い2失点完投勝利、3-2で東海大を破った。
 これで佐々木は、創部8年目の桜美林大に、初のドラフト指名(育成ドラフトを除く)に続く、リーグ初優勝という歴史を刻んだ。

優勝の瞬間天を見上げる佐々木(桜美林大)

優勝の瞬間天を見上げる佐々木(桜美林大)

★次戦は田中正義&池田隆英と直接対決!
 試合後、「調子が悪いなりによく投げてくれました」と桜美林大の津野裕幸監督が目を細めたように、本来の調子ではない中での投球が佐々木の成長を物語る。
 先発投手として起用され始めた2年時では、制球力が低く「打たれ出したら止まらないし、四球を出したら止まらなくなるような投手でした」と佐々木は振り返る。そんな時、当時特別コーチを務めていた桑田真澄氏(元巨人など)に「ゾーンの上下を意識する時、内外のコースを意識する時、その両方を狙う時がある」とコントロールの大切さや意識の持ち方を、桑田氏の実践を交えて学んだ。
 また、3年時からは野村弘樹特別コーチ(元横浜)が就任。下半身の使い方や試合に向けた調整法を伝授され、週1回の登板が続くリーグ戦で安定した成績を残し続けた。
 次なる戦いは10月31日から横浜スタジアムで始まる横浜市長杯(明治神宮大会関東地区代表決定戦)。桜美林大は、ソフトバンクに1位指名された田中正義投手と楽天に2位指名された池田隆英投手(ともに4年・創価高)を擁する創価大と初戦(2回戦)でいきなり対戦する。
「投げ合うのは楽しみ。でも負けないようにしたいです」と力強く話し、持ち前の闘争心を感じさせた佐々木。4年間で大きく成長させてくれた母校に、初の全国大会出場という歴史を刻むため、最後の戦いが続く。

リーグ戦初優勝でマウンド上でチームメイトと歓喜の輪

リーグ戦初優勝でマウンド上でチームメイトと歓喜の輪

文・写真:高木遊