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HOT GAMES 中根仁が斬る『5月25日 横浜DeNA 対 中日』

 セ・パともに、上位チームと下位チームの差が開きつつある中、順位の入れ替えが起こりうる状況で行われたのが5月23日からの横浜DeNA対中日の3連戦だった。連戦前には5位と6位だった両チームの対戦は、結果的に横浜DeNAが勝ち越し、上位への進出を再び狙える位置へと止まることになる。この3連戦の動向を、球団OBである中根仁氏が考察した。

——このところ調子を落としていた横浜DeNAと、4連勝を収めるなど好調な中日との連戦でしたが、軍配は横浜DeNAに上がりました。この戦いの結末を、中根さんはどうみていましたか?

「初戦で横浜が中日の勢いを止めたというのが非常に大きかったですよね。安定感のあるバルデス投手を苦手にしていたDeNAでしたが、この試合では6回までに5得点を奪いました。先制したのは中日で、嫌な流れだったと思うのですが、DeNA打線の勢いが上回りましたね」

——DeNAはこのところ欠場していた筒香選手が復帰しました。

「いい具合に休養することができたんじゃないでしょうか。先日も話しましたが、筒香選手は“あと少し”感覚がよくなればあたりが出るだろうという微妙なところでしたから、少し休んだことがいい結果に結びついたのかもしれません」

——本調子に戻ったといってよいでしょうか?

「まあ、本人の感覚の部分ですからね。コメントでも、決して自分として調子が悪いというようなことは口にしていませんでしたし、自分としてもあともう少しかなという感じはきっと持っていたんでしょう。昨年あれだけの結果を残しているわけですから、自分の感覚と動きが合えば、“できる”という自信もあるでしょう。悪い中でも3割近いアベレージを残してきましたから、不調ではないんですよ。戻ったという表現は適切ではないかもしれないです。難しいところですけど」

——筒香選手の復活で、打線全体が活性化したような3連戦でした。

「そうですね。特に、DeNAでは一番を打つ桑原選手と、九番を打つ倉本選手に当たりが戻りだしたというのが大きいと思います。彼らを辛抱強く使い続けているということに監督の信念を感じますね。どうやら、ファンの皆さんの間ではそろそろ変えるべきだというような声も出はじめていたようですけど、結果的にこの3連戦はその信念が実ったような結果だったといえるんではないでしょうか」

——使い続けてもらえるほうが、選手としてはやりやすいのでしょうか?

「人によるとは思います。これについては、選手としてやりやすいというよりは、責任を取る監督が信念を持ってやれるかが大事なような気はしますね。信頼して、使い続けるということは言葉では簡単ですけど、難しいです。実際、勝てない時期があったり、成績的にも辛抱しきれない部分に来てしまう可能性がありますからね。そういう意味では、まだ、これがよかったかどうかはわからないとも思いますね」

——これからどんな結果を残せるかが大事ということでしょうか?

「そうですね。まだこの3連戦だけの話ですから。ここから調子を上げるというか、しっかりとした、成績を残してくれるか、チームとして結果を出せてはじめて評価されるかもしれませんね」

——この3連戦を終えて、横浜DeNAは3位・巨人に2.5差となりました。中日も負け越してしまいましたが、5位・ヤクルトとは1.5ゲーム差です。

「まだまだわかりませんね。パ・リーグはAクラスとBクラスに差が出始めてしまっているようですけど、セ・リーグのほうが詰まっていますから。なにより、まだゲーム差を意識する時期ではないです。どちらかといえば、勝率5割を保ちたいと思いながらプレーしている部分もあるでしょうから、そのあたりのボーダーラインでどう戦えるかということが先につながっていく気がしますね」

——中日も、助っ人外国人選手が当たりだしたので、面白い存在です。

「そうですね。阪神が走るかなと思いましたけど、巨人が一矢報いましたし、面白くなってきそうな感じはありますよね。5位のヤクルトも本来の調子を取り戻せば打撃力があるチームですし、中日も一発の怖さがありますから、最後までもつれるんじゃないですか?ファンの人にとっては毎日ハラハラするかもしれないですけど、逆に楽しんでもらいたいですね」


中根 仁(なかね・ひとし)
球歴:東北高→法政大→近鉄→横浜
パンチ力ある打撃と俊足&強肩で活躍した元・近鉄戦士。近鉄で9年間活躍したのち、97年オフに横浜へと移籍。左キラーとして翌年のVに大きく貢献した。東北高では甲子園にも出場し、ひとつ下の後輩に佐々木主浩。現在は引退後のアスリートを応援するポータルサイト『アスリート街.com』の代表をつとめる。宮城県出身。右投げ右打ち。外野手。