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V3を逃したソフトバンクの誤算…盤石なはずの救援陣で抱えた借金「9」


最大11.5ゲーム差をひっくり返され、3年連続のリーグ優勝を逃したソフトバンク。シーズン序盤は圧倒的な強さを見せながら、V逸の要因となったのは何だったのか。

■逆転優勝した日本ハムとの“差”は? 先発陣はほぼ同成績を残すも…

 最大11.5ゲーム差をひっくり返され、3年連続のリーグ優勝を逃したソフトバンク。シーズン序盤は圧倒的な強さを見せながら、V逸の要因となったのは何だったのか。

 ソフトバンクの誤算を探る第2回は「投手陣」に注目する。

 ソフトバンクは今季83勝54敗6分の貯金29。一時は貯金33まで増やしたが、そこからの積み増しがうまくいかなかった。今季のソフトバンクの主な先発陣の成績はこの通りだ。

和田毅  15勝5敗 防3.04
武田翔太 14勝8敗 防2.95
千賀滉大 12勝3敗 防2.61
バンデンハーク 7勝3敗 防3.84
東浜巨  9勝6敗 防3.00
中田賢一 7勝3敗 防3.01
 
 最多勝のタイトルを獲得した和田をはじめ、パ・リーグで12人いた2桁勝利投手のうち、3人を抱える。アメリカ帰りの左腕が結果を残し、武田も自己最多勝利数を更新。初めてローテに入った千賀も十分過ぎる成績を残した。2桁勝利4人の日本ハムがその4投手で稼いだ41勝と同数を、3人で挙げているのだから、決して悪い数字ではない。

 これと対照的に、日本ハムに大きく水をあけられた要素がある。それが「救援陣」だ。救援投手陣だけの成績は以下の通りになる。

ソフトバンク 12勝21敗46セーブ89ホールド 防2.98
日本ハム 26勝13敗42セーブ120ホールド 防2.67

■V2の15年から大きく数字を落とした救援陣…守護神サファテは43Sも7敗喫す

 ソフトバンクが救援陣で9個の借金を抱えたのとは対照的に、日本ハムは13個の貯金を作った。同点やリードした場面で救援が崩れて落とした試合の多さを物語る。ちなみに、独走で優勝した15年のソフトバンク救援陣の成績は、23勝11敗44セーブ106ホールド、防2.81。今季は大きく数字を落としたことが分かる。

 主に勝ちパターンで登板してきたリリーフ陣の成績を15年と16年を比較すると以下のようになる。

▽サファテ
15年 65試合 5勝1敗9ホールド41セーブ 防1.11
16年 64試合 0勝7敗8ホールド43セーブ 防1.88

▽森唯斗
15年 55試合 5勝2敗16ホールド 防2.69
16年 56試合 4勝3敗14ホールド1セーブ 防2.98
 
▽五十嵐亮太
15年 54試合 3勝1敗31ホールド2セーブ 防1.38
16年 33試合 0勝1敗7ホールド 防3.62
 
▽森福允彦
15年 32試合 0勝2敗14ホールド 防5.82
16年 50試合 2勝1敗16ホールド 防2.00
 
▽バリオス 
15年 30試合 0勝2敗20ホールド1セーブ 防3.18
16年 11試合 0勝2敗3ホールド 防7.82
 
▽スアレス 
15年 加入前で登板なし
16年 58試合 2勝6敗26ホールド1セーブ 防3.19

 特に目を引くのが、サファテの7敗。昨季は1つだけだった黒星が一気に7つまで増えた。この7敗はすべて同点の場面に登板して喫したもので、これを減らせていれば、順位も変わっていたかもしれない。森、五十嵐といった面々は年間を通じて安定していたとは言えず、特に五十嵐は大きく数字を落とした。昨季よりも好成績を残しているのは、森福くらい。新加入のスアレスもチームに大きく貢献したが、6敗は痛かった。

 こう見ると、今季のソフトバンクは接戦をモノに出来ず競り負け、星を落としていたことが分かる。盤石と思われていた救援陣の不振。こんなところにも、V逸の一因が隠されている。

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