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「地に足が着いていた」広島が先勝 日ハム大谷の投球には「雨が影響」


22日の日本シリーズ第1戦(マツダスタジアム)は、広島が5-1で日本ハムに快勝した。日本最速165キロを誇る二刀流右腕・大谷から重盗と2本塁打で3点を奪取。ジョンソンは7回途中9失点ながら1失点と粘りの投球を見せ、救援陣も無失点リレーを見せるなど、投打ががっちりと噛み合った。

■マウンドのぬかるいで露呈したパワーピッチャーゆえの“弱点”

 22日の日本シリーズ第1戦(マツダスタジアム)は、広島が5-1で日本ハムに快勝した。日本最速165キロを誇る二刀流右腕・大谷から重盗と2本塁打で3点を奪取。ジョンソンは7回途中9安打ながら1失点と粘りの投球を見せ、救援陣も無失点リレーを見せるなど、投打ががっちりと噛み合った。

 戦前の予想では日本ハム有利の声がやや多かったが、2位に17.5ゲーム差をつけてセ・リーグ独走Vを果たした広島が先勝。最強左腕ジョンソンとの投げ合いで、難攻不落と見られていた大谷は本来の出来ではなかった。

 ヤクルト、日本ハム、阪神、横浜の4球団で捕手としてプレーした野球解説者の野口寿浩氏は、6回5安打3失点11奪三振4四球で敗戦投手となった大谷について「本調子ではなかった。雨がかなり影響していたように思います」と指摘した。

 この日の広島は日中から雨が振り続け、試合が始まってからも小雨がちらつく天候。当然、マウンドにもぬかるみがあった。そこで大谷の“弱点”が露呈したという。

「マウンドがぬかるんでいたので、上と下のバランスが崩れてしまっているように見えました。あれだけのパワーピッチャーでなければ、そこまで影響はしないでしょうけど、大谷は踏み込む左足を恐る恐る着いているような感じでした。いつもはすごく左足に力が入っていて、投げた後にぐっと引いて跳ね上がるような感じなのに、それがなかった。おとなしくポンポンと着いている感じでした。

 松山とエルドレッドに一発を浴びましたが、大谷が直球をあんな形でホームランにされるなんてことはほとんどないですよね。実際にスピードガンの数字も出ていなかった。今までドーム球場で投げることが多かったけど、環境適応能力にはまだ課題があるのかなという感じでした。上(半身)と下(半身)のタイミングが、札幌ドームで投げている大谷と違うように見えました」

■ジョンソンは同じ状況で力投、カットボールは次回の対戦でも武器に

 一方で、同じ環境で投げた広島のジョンソンは苦しみながらも、要所を締めて1失点。日本ハム打線に対して効果的だったのが、カットボールだ。

「日本ハムは、どのバッターも合わなかったボールがありました。カットボールです。日本ハムは次に対戦する時はすごく嫌なんじゃないかなと思います。右バッターも左バッターもカットボールに合っていなかった。今年は交流戦でジョンソンに勝っていたとは言え、(次は)嫌だと思ったはずです」

 もつれればジョンソンは再び先発することになるだけに、苦手意識を植え付けたことは大きい。

 また、両チームの違いについて、野口氏は「今日の試合を見ていると、カープのほうが普段通りに野球をやっているように見えました。地に足をがついていた」と分析する。一塁走者の安部がスタートを切り、三塁走者の鈴木が本盗を仕掛けて先制点を奪った場面には、広島らしさが凝縮されていた。

「田中もヒットを打ったし、CSであまり良くなかった丸も打ったし、松山にも一発が出ました。当たっていないのは菊池と鈴木くらいですが、菊池はいいバントを決めていたし、問題ないと思います。ピッチャーもああいう展開で、今村、ジャクソン、中崎がしっかりと投げていた。“コアメンバー”が落ち着いてやれていました。

 逆に日本ハムは中田、陽岱鋼が少しおかしかった。あの2人が落ち着いてやらないと、チームとしては厳しい。西川も2本ヒットが出ましたけど、差し込まれて高く弾んだラッキーな形での内野安打でした。近年のシーズンの成績を見ると、日本ハムの方が強さを見せてきました。なので、少しプレッシャーを感じている可能性もあると思います。CSや日本シリーズに進出しているのは日本ハムの方が多いので、それがプレッシャーになっているのかもしれません」

■大谷は第6戦で再び先発予定も…「雨なら日本ハムとしては少し怖いかも」

 今回の対戦では、広島の方が「挑戦者」に回っていると野口氏は指摘。さらに、戦前は日本ハム有利の予想も多いだけに、勝たなければいけないという重圧を感じている可能性もあるというのだ。

 野口氏も戦前は4勝1敗で日本ハムが勝つと予想。その理由として、今季、圧倒的な力を見せつけてきた大谷翔平の存在を挙げていた。しかし、その大谷が雨の影響もあって本調子ではなく、広島が地力を見せて見事に攻略。ジョンソンを初めとする投手陣の好投もあり、流れを掴んだ。

「こうなってくると、流れは広島に傾いてくる。昔から日本シリーズは第2戦が重要と言いますけど、頭を取ったほうが有利なのは間違いない。あとは、例えば広島が3勝2敗と王手をかけて第6戦になって、大谷が再びマツダスタジアムで先発するとなっても、その時にまた小雨だったら日本ハムとしては少し怖いかもしれませんよね」

 もし、大谷が絶対的な存在でなくなったのだとしたら…。広島にとっては1勝以上の勝ちを持つ勝利だったと言えそうだ。

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