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2017.04.30 15:26
【THE INSIDE】社会人野球の「JABA関東選抜リーグ」は見どころ満載
社会人野球では、毎年7月に東京ドームで開催される「都市対抗野球大会」(今年は第88回)と、10月末から11月にかけて京セラドーム大阪で開催される「日本選手権大会」(今年は第43回)が2大大会となっている。
ほとんどのチームが両大会の出場を第一目標とし、さらに大会ではひとつでも上へ勝ち上がることを目指していくのだ。そして、最終目標が日本一である。
ただ、社会人の試合はそれだけではない。実質は、全国では毎週のように何らかの大会が開催されているのだ。
優勝すれば日本選手権大会の出場権が与えられるJABA(日本野球連盟)の公式大会(3月のJABA東京スポニチ大会、4月のJABA日立市長杯選抜野球大会、JABA長野県知事旗争奪野球大会、5月のJABAベーブルース杯大会、JABA九州大会などの全国大会)は、ある程度重要な位置づけとなる大会でもある。
Hondaの円陣
また、それ以外でも地域連盟や都道府県連盟がそれぞれ主催して開催されるローカル大会がある。都市対抗野球の予選~本大会となる6~8月を挟んで春と秋に大田スタジアムなどで開催されているJABA関東選抜リーグも、そんなローカル大会の一つである。
とはいえ、参加チームは関東の社会人野球のトップレベルを競い合うようなところばかりだ。それだけに見どころも多い。都市対抗予選や本大会の前哨戦というような要素もある。公式大会だけに、オープン戦とは違った雰囲気もあるはずだ。
ただ、試合としてはチームの本音からいえば、都市対抗予選の代表決定戦のように、「是が非でも勝ちにいかなくてはいけない試合」というものではない。それだけに、各チームは新戦力や躍進著しい若手の活用や故障明けの選手など、予選前に試しておきたいことをいろいろトライしている。だから、フレッシュな選手が登場してくる面白味もある。そういう部分を期待している人もおり、平日の昼間の試合でも目の肥えたファンなどが足を運んでいる。
それに、手の内はある程度は知っているとはいえ、予選で当たるチームなどに対しては、新戦力などは気になるところである。同じ埼玉県と南関東で代表を争うHondaと日本通運などは、それぞれ相手の試合を食い入るようにスタンドから見つめていた。
Hondaは昨年、都市対抗の連続出場が12年で途切れてしまった。さらには、日本選手権の出場も逃したという屈辱の1年となった。それだけに、挽回への意欲は強いものがあろう。
Honda・永野将司
監督も2009年に都市対抗を制した際の主将だった岡野勝俊(東京農大二→青山学院大)がこの春から就任。チームの構成もがらりと若返った。投手陣では新人の齋藤友貴哉(山形中央→桐蔭横浜大)、2年目の幸良諒(興南→東京農大)、同じく2年目の左腕・永野将司(日出暘谷→九州国際大)といったところを積極的に起用していた。
三菱日立パワーシステムズ横浜(以下MHPS)は、三菱重工長崎との統合という形になり、今年1月から新たなスタートを切っている。三菱実雄幸長崎の休部に伴って、選手やスタッフも、後藤隆之監督(延岡→九州東海大)を含めて、何人かがMHPSに移ってきた。移籍組と、MHPSの選手たちが、どう融合していかれるのかということを確認していくのにも、関東選抜リーグでの試合は大事であろう。九州で数多く戦ってきた選手たちにとっては、関東の選手たちを知るという意味合いもあったはずだ。
三菱重工長崎は1918年に創部。過去17回、都市対抗野球大会に出場し、91年と99年には準優勝している。また、2001年の日本選手権では後藤現監督も現役で活躍し、現巨人の杉内俊哉投手などもいて優勝を果たすなどの実績があった。
三菱日立パワーシステムズ横浜(MHPS)のベンチ
MHPSは4月26日の日本通運との試合で、久木田雄介(れいめい→第一工大)、塩見泰史(大阪桐蔭→関東学院大)といった長崎からの移籍組がクリーンアップを打っていた。
創部100年を前に吸収された形での統合となってしまった三菱重工長崎だが、その理由としては、「三菱重工本体の業績とは関係なく、全国制覇を狙える強力なチームを作る」ということになっている。だからこそ、まずは西関東地区予選を突破して本大会に進出することは大前提である。
MHPSとして、それだけに都市対抗までの一つひとつの試合はどれもが選手個々にとってもチームにとっても大事なものとなることは間違いない。
さまざまなチーム事情や表情を観察することができるのも、関東選抜リーグの楽しみのひとつでもある。