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令和最初の大学日本一はどこだ!?【全日本大学野球選手権準決勝・決勝展望】

 6月10 日から始まった第68回全日本大学野球選手権大会も残すところ16日の準決勝、17日の決勝を残すのみとなった(会場はともに神宮球場)。4強に勝ち残ったのは下記の4校だ。

明治大(東京六大学野球連盟)
東京農業大北海道オホーツク(北海道学生野球連盟)
佛教大(京滋大学野球連盟)
東海大(首都大学野球連盟)

★準決勝第1試合(11時半〜):明治大vs東京農業大北海道オホーツク

 18回の出場を数えながら、大学選手権では優勝から38年遠ざかる明治大は投打の柱の好調が頼もしい限り。

 初戦となった2回戦では森下を温存しながらも、1回戦で上武大を破った福井工業大を相手に北本一樹(4年・二松学舎大附)が3ラン本塁打で含む4打点の活躍を見せて9対2の7回コールド勝ちに貢献。

 さらに準々決勝の東洋大戦でも東都大学野球リーグ個人賞4冠の村上頌樹(3年・智辯学園)から2本のタイムリー二塁打で3対0の勝利に貢献した。またこの試合では、満をじして先発したドラフト1位候補である森下暢仁(4年・大分商)が7安打完封。力強さやキレに加えて、「相手がストレートを待っていたので、うまくカットボールを使えました」とクレバーな一面も見せた。

 対する東京農業大北海道オホーツク2年ぶり16回目の出場で初の4強進出。北海道網走市に拠点を置き、寒さの厳しい自然環境を言い訳にしない質・量ともに充実した練習でプロ野球界にも井口和朋(日本ハム)ら10数名を輩出。井口を中心に2014年秋には明治神宮大会4強入りを果たしている。

 今年も投打にパワフルな選手が多く、3番を打つブランドン大河(3年・石川)と抑え右腕の中村亮太(3年・千葉経済大附)にはNPB球団のスカウトも注目。他にも1年生ながら好投を続ける林紅太(1年・佐久長聖)、伊藤茉央(1年・喜多方)の両右腕、2本塁打を放っている榎本竜成(4年・流通経済大柏)の存在も心強い。

 チャレンジャー精神全開で挑んでくるであろう東京農業大北海道オホーツクに対して、明治大がどう受け止めて戦うのか注目だ。

打線のキーマンである北本は好調が続く

★準決勝第2試合(14時):佛教大vs東海大

 今大会で台風の目となっているのは5年ぶり20回目の出場となる佛教大。初戦ではプロ注目の3年生投手2人を擁する八戸学院大に9回に3点差を逆転するサヨナラ勝ちで劇的勝利を挙げた。すると愛知工業大にも4対1で勝ち進んだ準々決勝でも見事な逆転劇を見せる。

 昨年度優勝の東北福祉大を相手に6回終わって3点のリードを奪われたが、7回から登板したドラフト上位候補右腕・津森宥紀(4年・和歌山東)に8安打を浴びせる猛攻の末、最後はスクイズでサヨナラ勝ちを収めた。

 この粘り強さを生んでいるのは、3試合7失点の中山怜央(4年・奈良大附)中山塁(4年・岡山南)木下隆也(2年・奈良大附)の投手陣と「(結果の)良い悪いに左右されないこと」ということを高校野球の監督歴も長い田原完行監督が徹底してきた成果だ。

 対する東海大は大会屈指の強力な投手陣が大きな武器。山﨑伊織(3年・明石商)原田泰成(4年・東海大市原望洋)小郷賢人(3年・関西)と最高球速が150km/hを超える右腕3人に、2回戦でリリーフし打者31人に対し14奪三振、被安打1に抑えた左腕・松山仁彦(3年・東邦)もおり、この豊富な投手陣をドラフト候補捕手の海野隆司(4年・関西)がリードする。

 他の野手陣も粒ぞろいで、2回戦で好走塁で本塁陥れた宮地恭平(4年・東海大相模)や準々決勝の大阪商業大戦で本塁打を放った杉崎成輝(4年・東海大相模)など、上位・下位関係なくどこからでもあらゆるパターンで得点を挙げることができる。
タレント豊富な東海大に対して佛教大が持ち味の粘りをどこまで発揮できるか楽しみだ。

 新元号・令和となり初の大学日本一を争う戦いはさらに熱を帯びていく。

投手・野手ともにタレントが揃う東海大は5年ぶりの優勝を狙う

文=高木遊
写真=山田沙希子、中西陽香