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【高校秋季東北大会】仙台育英が9度目V 上林、平沢らに続く3度目の明治神宮大会制覇なるか

高校野球の秋季東北大会決勝が19日、山形県の庄内銀行・日新製薬スタジアムやまがたで行われた。仙台育英が盛岡大付を6-2で下し、2年ぶり9度目の優勝と明治神宮大会出場を決めた。

■盛岡大付を下して2年ぶり優勝、選抜出場確実から「もう1つの山を登る」

 高校野球の秋季東北大会決勝が19日、山形県の庄内銀行・日新製薬スタジアムやまがたで行われた。仙台育英が盛岡大付を6-2で下し、2年ぶり9度目の優勝と明治神宮大会出場を決めた。

 2年ぶりの東北チャンピオンにも佐々木順一朗監督の口からは厳しい言葉が並んだ。

「両チームが(準決勝の)山を越えてきたことで、両チームとも心のスキが表れるだろうな、と思った。厳しい目で見れば、前半は相手のミスに助けられ、そのスキを突くことができた。逆に後半は点差が開いたことでウチが中だるみのようになり、スキが出た」

 東北地区の選抜大会の出場枠は2つ。突破することで選抜大会出場を大きく手繰り寄せられる準決勝が“大一番”の勝負になる。佐々木監督は決勝戦を「(準決勝という)大きな山を越えて、もう1つの山(決勝)を登る」と表現した。そして、「ウチだけではなく、盛岡大付も準決勝を勝ったことで少なからず、スキが出るはず」と話していたが、その言葉が現実のものとなった。

■12年はSB上林、14年はロッテ平沢を擁して明治神宮大会も優勝

 盛岡大付は3回までに4失策と守備が乱れ、そのエラーがことごとく得点に絡んだ。逆に仙台育英は失点した8回に野手の緩慢なプレーがあり、選手たちがベンチに戻ると佐々木監督は声を荒げた。ゲームセットの瞬間まで全力で戦う姿勢を求めてのことだった。攻撃力のある盛岡大付だけにちょっとした緩みで一気にひっくり返される可能性だってある。指揮官の一喝もあり、最後まで気を引き締めて戦い抜いた仙台育英が2年ぶりの頂点に立った。

 2012年、仙台育英は現ソフトバンクの上林誠知外野手を擁し、6年ぶりに東北大会を制した。明治神宮大会では初優勝。その2年後の14年は、佐藤世那(現オリックス)、平沢大河(現ロッテ)らで2度目の明治神宮大会制覇を成し遂げた。過去のチームとの比較を求められた佐々木監督は「選手が全員、違うので比較は難しい。それぞれに違うカラーがある。だから、面白いんです」と言った。

「いつにも増して真面目でいい子」だという現チーム。県大会出場をかけた地区予選の頃は、今大会全4試合に先発したエース・長谷川拓帆(2年)が左ひざの怪我で登板できず、また、現段階とポジションが異なる選手もいた。不安定な投手陣に噛み合わない攻撃陣……。それが、長谷川が台頭し、公式戦を負け知らずで勝ち上がることで成長していった。そして掴み取った明治神宮大会。佐々木監督は「現時点の旬なチームとどう戦えるか。秋のチームの状態が良く分かる。(選抜大会までの)過ごし方の道標になる試合をしたい」と意気込んだ。

高橋昌江●文 text by Masae Takahashi

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