BASEBALL GATE

侍ジャパン

「球界を引っ張っていくという使命感で参加してくれた選手に感謝」退任する小久保裕紀監督が記者会見。

3月23日、前日の「2017 WORLD BASEBALL CLASSIC™」(以下、WBC)準決勝で惜敗した侍ジャパン代表メンバーが日本に帰国。都内で小久保裕紀監督の記者会見が行われた。

会見の冒頭では「(監督就任から)3年半かけて、世界一という目標を掲げてやってきましたので、それを達成できなかった悔しさはあります」と、2大会ぶり3度目の優勝を逃した思いを率直に語った。一方で「“よくやった”という声を多くいただいた」という帰国時のファンの労いや、「球界を引っ張っていくという使命感で参加してくれた」という選手たちの献身に、あらためて感謝の気持ちを述べた。

4回目の開催となったWBC。過去3大会と大きく異なるのが侍ジャパンの常設化だ。2013年に新たに就任した小久保監督のもと、その年の11月に台湾で行われた強化試合を皮切りに、日米野球(2014年)、プレミア12(2015年)、複数の強化試合、練習試合を含め41試合を戦った。

この点については小久保監督も「“常に選ばれたい”という選手たちの意識も高まりました。特に野手は同じメンバーを選ぶことが多かったので、性格やプレースタイルを把握できる時間があり、作戦が組みやすかったです」と、その効果を語った。

一方で、1対2と敗れた準決勝アメリカ戦を振り返り、その差を率直に認めた。

「東京ラウンド(1・2次ラウンド)までの投手とは、動くボールのスピードであったり、動きの幅であったり、ランクが違いました。打線の状態は良かったのですが、それでもほとんど芯をとらえることができませんでした」

今大会を持って監督退任を明言している小久保監督。2020年の東京五輪や2021年に予定される次回WBCでの世界一奪還に向けた強化プランについては「そういう場所に呼ばれて、意見を聞かれることがあれば、その時にお話したい」と言うに留めたが、今後積極的に提言をしていく姿勢を示した。

強化合宿から硬い表情での会見が目立った小久保監督だが、この日は優勝を逃した悔しさを滲ませつつも、晴れやかな表情も見せた。

「素晴らしい選手たちに恵まれ、戦えたことは私の人生の中の宝物です」と話した小久保監督。東京ドームに詰めかけた24万6591人(6試合の合計)という多くの観客の前や、テレビなどメディアを通じて見せた激闘の数々は、多くの野球ファンを熱狂させ、新たな野球ファン獲得にも貢献したことは間違いないだろう。

想像を絶する重圧の中で、熾烈な国際試合を戦った小久保監督が、今後の球界発展に大きな役割を果たしていくことを期待したい。

文・写真=高木遊