BASEBALL GATE

侍ジャパン

本日開幕!第89回センバツ出場校展望(関東・東京編)

写真提供:共同通信社

本日開幕した第89回選抜高等学校野球大会。今年も北は北海道から南は熊本県まで、全国から32校が甲子園に集結した。「BASEBALL GATE」では地域ごとに出場チームの戦力と注目選手を紹介していく。関東・東京地区は、合計計6校。

■関東地区
・作新学院(栃木)5年ぶり10回目
・東海大市原望洋(千葉)7年ぶり2回目
・前橋育英(群馬)6年ぶり2回目
・健大高崎(群馬)2年ぶり3回目

 このセンバツで1982年夏・1983年春の池田(徳島)以来となる夏春甲子園連覇を目指す作新学院は日本で最も新チーム結成が遅れても強さを堅持している。昨秋の栃木県大会準決勝の青藍泰斗戦では、プロ注目の最速146キロ右腕・石川 翔(3年)を攻略し2対0。決勝では石橋を5対1で下し県大会優勝。関東大会でも準決勝で健大高崎(群馬)を5対1、決勝の東海大市原望洋(千葉)にも5対1で勝利し38年ぶりの優勝を果たした。

 チームの中心選手はエースとして防御率1.02を記録し、関東大会では4番も張った技巧派左腕・大関 秀太郎や、打線では1番打者ながら2本塁打、11打点・8盗塁を記録した鈴木 萌斗(3年・中堅手)。夏の優勝経験者でもある鈴木にはセンバツでも突破口を切り開く活躍が求められる。

 また、開会式では選手宣誓の大役を担うことになった主将の添田 真聖(3年・二塁手)は、打率.390の確実性も備え、パンチ力あふれる3番・中島 淳(3年・三塁手)にも注目。さらに公式戦10試合で24盗塁を記録した機動力も見逃せない。

 関東大会準優勝の東海大市原望洋は、昨秋、千葉県大会一次予選で志学館に敗れながら、敗者復活戦を勝ち進んで県大会出場を果たした粘りが持ち味。

 県大会では敬愛学園を5対1で下すと、準決勝の専大松戸戦まではコールド勝ち。決勝戦の中央学院戦も5対1で勝利。千葉県1位進んだ関東大会では1回戦で石橋(栃木)を5対2で破り、準々決勝・山梨学院(山梨)戦も5対2で勝利。準決勝の前橋育英戦では5対3で接戦を制し、決勝までコマを進めた。最後は作新学院に敗れたが、収穫を大きく残した大会となった。

 その原動力となったのは最速147キロ右腕・金久保 優斗(3年)。昨年は13試合を投げて、10試合を完投。防御率1.86と抜群の安定感がある。打線では昨年から主軸として活躍を見せた左のスラッガー・荒川 太一(3年・左翼手)、塚本 翼(3年・右翼手)の2人が軸。遊撃手・藤本 誠啓(3年)も走攻守で中心的な役割を果たしている。また14試合で36盗塁を決めた機動力は2017年の東海大市原望洋にとって例年以上の強みとなる。

 ベスト4の前橋育英は安定した戦いぶりで勝ち上がってきた。群馬県大会ではコールド勝ち2試合、完封勝利2試合と安定した勝ち上がりを見せ、決勝戦では健大高崎に4対3で競り勝ち優勝。
 
 関東大会では、1回戦の白鵬大足利(栃木)戦で4回表終わって2対5と3点の先行を許すも、4回裏、5回裏に2点ずつ入れて逆転勝ち。準々決勝の慶應義塾(神奈川)戦でも4回表に3点を先制されるも、8回裏に皆川 喬涼(3年・右翼手)の適時打で追いつき、9回裏サヨナラ勝ち。これがセンバツ出場を大きく手繰り寄せる要因となった。
 
 前橋育英の自慢は層の厚い投手陣である。昨秋は先発を任された吉澤 悠(3年)は6試合に登板し試合を作り、最速144キロ右腕・皆川 は県大会3試合で防御率0.60。打者としても2本塁打、7打点、打率.355を記録している丸山 数郁(3年)は中堅手から入るマウンドでも、左腕から最速143キロのストレートとキレのあるスライダーを武器とする。昨秋公式戦では17イニングでわずか1失点の快投を見せた。さらに、192センチ93キロの根岸 崇裕(3年)も130キロ後半の速球で勝負する大型右腕。センバツで登板があるか注目される。

 2013年夏に全国制覇経験がある前橋育英だが、意外にもセンバツではまだ未勝利。総合力の高さで中村戦から頂点を狙う。

 前橋育英と同じく群馬勢として関東大会ベスト4まで勝ち上がった健大高崎の持ち味はなんといっても伝統の「機動破壊」。昨秋も公式戦8試合で26盗塁を決めており、うち4試合でコールド勝ちと攻撃力も高い。中でも1番の湯浅 大(3年・遊撃手)は8盗塁、2番の小野寺 大輝(3年・中堅手)は9盗塁を記録している。また、湯浅は打率.478、小野寺は打率.400と高確率での出塁も期待できる。

 投手陣は継投策が軸。右サイドから130キロ中盤の速球と多彩な変化球で勝負する伊藤 敦紀(3年)は昨秋公式戦防御率1.15。昨秋の公式戦では4試合登板に留まったが、最速145キロ右腕の小野 大夏(3年)。練習試合を含め64イニングで95奪三振を記録しており、センバツで一気に脚光を浴びる可能性を秘めている。

■東京 
・早稲田実業 4年ぶり21回目
・日大三 6年ぶり19回目)

 強豪校がひしめきあ激戦区東京を制したのが、日本高校野球界を代表するスラッガーであり、主将としてチームを引っ張る清宮 幸太郎(3年・一塁手)擁する早稲田実業だった。清宮は主将就任直後、「GO(球速5キロアップ)・GO(飛距離5キロアップ)・GO(体重5キロアップ)」をスローガンに掲げ、チーム改革に乗り出してきた。

 早稲田実業の勝ち上がりを振り返ると、一次予選では2試合をコールドで勝利、都大会では都立片倉、関東一、国士館を破り、決勝では日大三と激突。神宮球場に2万人の観衆が詰めかけたこの一戦は最後まで手に汗握る勝負となり、4対6でリードを許した9回裏に同点に追いつき、そして2年生スラッガー・野村 大樹(三塁手)がサヨナラ本塁打を放ち、2005年以来となる秋季大会優勝を決めた。

 打線の中心はもちろん清宮と野村。清宮は公式戦打率.412、5本塁打、14打点を記録し、野村は公式戦打率.459、4本塁打、18打点と勝負強さを発揮している。また、昨秋東京都大会中に急成長を見せたショートの野田 優人(2年)、公式戦打率.370を記録した西田 燎太(3年)。清宮、野村の後を打つセカンド・橘内 俊治(3年)も、公式戦打率. 529、13打点と巧打者がそろっており、スキがない。

 一方の投手陣。昨秋、1年生ながら7試合に登板し、防御率2.18を記録した中川 広渡(2年)は130キロ中盤の速球と曲がりが鋭いスライダーを制球良く投げ分ける右腕。この冬は球威アップを図り、全国レベルの投手を目指す。清宮同様に1年夏の甲子園出場経験があり、右スリークォーターから140キロ近い速球を投げ込む服部 雅生(3年)も成長が期待される。王貞治・福岡ソフトバンクホークス会長が3年生だった1957年以来、60年ぶりの頂点獲得へ。まずは初戦の明徳義塾(高知)戦に注目だ。
 準優勝の日大三は伝統の強打が武器。昨秋都大会では8試合で15本塁打、さらに5試合がコールド勝ち。チーム打率も.347の破壊力を持つ。

 打線の中心は1番打者ながら4本塁打を放った井上 大成(3年・三塁手)や、193センチ101キロの「デカプリオ」こと金成 麗生(3年・一塁手)。金成も公式戦で3本塁打を放った。そしてエース左腕の櫻井 周斗(3年) も打者として3本塁打11打点と勝負強い打撃を発揮する。

 その櫻井は投げても最速144キロのストレートに加え、「分かっていても打てない」縦スライダーを武器に、公式戦では44回3分2回を投げて58奪三振。奪三振率11.80と驚異的な奪三振率を記録している。東京都大会決勝では早稲田実の清宮幸太郎から5三振を奪い、一躍注目を浴びる存在となった。

 選抜出場校の選考では関東大会準々決勝の慶應義塾と争う形となり、15本塁打を放った長打力とエース櫻井の投手成績が大きく評価され、6年ぶりのセンバツ出場を決めた日大三。1971年以来の頂点を目指す。