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甲子園で活躍した鈴木昭汰が挫折を乗り越えリーグ戦初勝利「こんなに辛いものかと・・・」【4/28 春季東京六大学野球 2回戦 慶應義塾大学 vs 法政大学】

 東京六大学野球春季リーグの第3週2日目が行われ、第2試合では法大が5対4で慶大に逃げ切り、対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。ともに2つ目となる勝ち点を目指す3回戦は、29日12時から神宮球場で行われる予定だ。


甲子園で通算5勝を挙げた鈴木が、常総学院の1学年先輩である宇草孔基の本塁打などの援護を受けてリーグ戦初勝利を飾った


 常総学院時代は2年春、3年春・夏とエースとして甲子園に出場し、2年春と3年夏には8強進出を果たすなど活躍した鈴木昭汰(3年・常総学院)がリーグ戦初先発で初勝利を挙げた。

 これまでの大学2年間で怪我などは無かったが、大学野球のレベルの高さに苦しんだ。1年秋にリーグ戦デビューを果たすも、3試合6回3分の1を投げて防御率7.11。毎年好素材が入学する法大の中で、その存在感はどんどんと埋没していった。
中学時代から日本代表を経験するなどエリート街道を歩んできた鈴木にとっては初めての大きな挫折。「長かったです。こんなに辛いものかと思いました」と、試合後に思わず吐露したほどだ。

 それでも「1度下を見た人間は強い」と自らに言い聞かせ、同期の高田孝一(3年・平塚学園)や石川達也(3年・横浜)の活躍を見て自らを奮い立たせ、球のキレやスピードを磨いてきた。この日は慶大の強力打線に7回途中まで7安打4失点を奪われるなど苦しい投球が続いたが、ストレートやスライダー、チェンジアップなどを上手く織り交ぜて要所を抑えた。

 高校まではエースの役割が当たり前だった。それだけに「この立場にいることは絶対条件。白星が初めてついてホッとはしましたが、チームの勝利にもっと貢献していきたいです」と、かつてのエースとしての誇りを取り戻したかのような凛々しい表情が印象的だった。

■慶應義塾大vs法政大2回戦

慶大 000110200=4
法大 40010000X=5

【慶】●木澤、森田晃、石井、増居、佐藤-郡司
【法】○鈴木、朝山、三浦-渡邉

本塁打:法大・安本《1回3ラン》宇草《4回ソロ》、慶大・嶋田《4回ソロ》

◎法大・金光興二監督代行
「(前日7回101球を投げた三浦を8回から投入したことについて)今日勝たないと明日は無いので。投手陣の状態は上がっていないが精神面の勝負になる。起用はひと晩考えます」

◎慶大・大久保秀昭監督
「メチャクチャ悔しいですが、明日に繋がる戦いはできました。三浦を投入させて2イニングを投げさせたことが一番大きいと思います。明日も総力戦で頑張ります」


法大・朝山のフォークに体勢を崩しながらも、左中間を破る2点タイムリーを放った慶大・中村。これで1点差に迫り、次の8回から相手エースの三浦を引きずり出した


文・写真=高木遊