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現役引退後の「繋がり」からの「新たな発見」 そして「大切にしていること」 【Baseball Job File vol.2】

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 プロ、アマを問わず野球界にかかわるさまざまな人々にスポットを当てる連載の第2回。今回は、ロッテ、中日、巨人、そしてアメリカと20年間のプロ野球生活を送ったのち、プロ野球解説者として活躍する前田幸長さんが登場。解説者としてのポリシーはもちろん、少年野球の指導者としても活躍する前田さんに、指導時のこだわりなども聞いてみた。



■地元・福岡から解説者人生をスタート

── プロ野球選手が現役を引退し、解説者になられるケースは多いですが、前田さんの場合どのような経緯があったのでしょうか?

前田 現役を退くということが決まった頃に、僕の地元でもある福岡県の九州朝日放送の方から、「うちで解説をやらないか」とお誘いがあったんです。その方は、僕が高校生のときから取材をしてくれた人でしたので、すぐにお願いしますと返事をしました。ラジオのニッポン放送で解説をやらせてもらっていますが、こちらは今、フリーで活躍されている松本秀夫アナウンサーが声をかけてくださったんです。松本アナは僕がロッテにいた頃に番記者をされているころから親しくさせてもらい、4、5年くらい前に、「うちで手伝ってくれない」と話をいただき、ぜひお願いしますとなった感じです。CSのメジャー中継などは、僕から売り込みもしましたが、知り合いの紹介などで解説をさせてもらっているケースもあります。

── 現役時代からつながりはすごく大事なんですね。

前田 僕の場合は、現役時代からおしゃべりが大好きだったのがよかったと思います。グラウンドに来ている番記者の方とはよく話をさせてもらいましたから。プロ野球選手の中には、話が得意ではない人もいるので、全員に当てはまるわけではないですが、僕の場合は、話し好きだったことが結果的に今の仕事につながったのかなと思っています。

── 選手としてプレーしている立場から解説者となって新たな発見はありましたか?

前田 ピッチャーの場合、打者を抑えることしか頭に入っていないです。もちろん、サインや守備のシフトなども把握していますが、基本は打者を抑えてなんぼの世界。だから、解説者になってから広い視野で試合が見られるようになったのは、新しい発見だと思います。

── プロ野球解説者として前田さんが大切にされていることはありますか?

前田 解説があるときは、できるだけ早く球場に入って、一人でも多くの選手や監督、コーチと話をすることですね。テレビの場合は映像があるからまだいいんですけど、ラジオの場合だと10対0とか大差がついてしまうと、試合について話すことがなくなってしまう。そんなときに、試合前の練習の合間に聞いた話で面白いことがあればそれを披露できる。そうなると聞いている人にも、「前田は面白い話のネタいっぱいもってるな」って印象付けられるんです。野球のことだけ話すなら、今はインターネットでもたくさんの情報が出ている時代なので、誰でも話せちゃうんです。でも解説者としては現場レベルの声を聞けてそれを話せるわけじゃないですか。だから、話のネタになる引き出しを増やすためにも、試合前に多くの人に話を聞くようにしているんです。



■指導者としても伝えたいこと

── 前田さんは解説者としてだけでなく、指導者としても活躍されています。子どもたちへの指導で心がけていることは何でしょうか?

前田 時間を大切に使いなさいということです。僕たちが学生の頃は、プロ野球選手になるために野球漬けの日々を過ごしていました。でも今は、野球だけやっていればいい時代ではなくなっています。昔に比べて練習時間は短くなっていますから、その中でどれだけ頑張れるかが、成長につながる。監督やコーチがその場にいないからといって、手を抜くのではなく、練習の時間はどんな状況でも全力で頑張ってほしい。

── 限られた時間の中で一生懸命にやることは野球以外にも通じることですよね。

前田 大人になってから、あのときこうしておけばよかったと後悔しても意味がない。懸命にやったことがすべていい結果に結びつくとは限りませんが、やらなければ絶対に結果はでない。だから、子どもたちには、1分1秒の練習を大切にしなさいとは必ず伝えています。

── 最後に、プロ野球解説者のやりがいはどこにあると思いますか?

前田 テレビやラジオでプロ野球中継を楽しみにしている人がいてこそ成り立つ仕事ですから、話を聞く側に立って話をして喜んでもらうことがやりがいだと思います。一人でも多くの人が、「元プロ野球選手は、話が上手だな」という印象を持ってもらえるように、これからも頑張っていきます。


▼プロフィール
前田幸長(まえだ・ゆきなが)/1970年生まれ、福岡県那珂川市出身。福岡第一高校のエースとして1988年には春夏連続で甲子園に出場。その年のドラフト1位でロッテに入団し、1年目から先発、中継として一軍で活躍する。その後、中日、巨人でも活躍し、08年にはメジャー挑戦のため海を渡った。この年の12月に現役を引退すると、プロ野球解説者として活動する傍ら、少年野球チームの会長を務めるなど、幅広い活動を行っている。

取材・写真=松野友克