BASEBALL GATE

侍ジャパン

【Baseball Gate Analysis】レフト方向にも一発を量産。進化する筒香嘉智の歩み。

  横浜高校時代から全国屈指の強打者として注目を集めた筒香嘉智は、2009年のドラフト1位指名で横浜ベイスターズに入団。3年目に初めて2ケタ本塁打を記録すると、5年目には規定打席到達で打率3割をクリアするなど着実なスキルアップを果たし、この時期と前後してメディアなどで“開花”という表現が見られるようになる。現在ではチームのみならず、侍ジャパンでも主軸として活躍する筒香。今回は“開花”前後のデータを比較し、筒香の現在地を確認してみたい。

■苦手コースと反対方向の意識

 プロ入り後の若き筒香を苦しめたのは、外角コースへの対応だった。13年までの通算で外角打率は1割台という結果が、それを物語っている。バッテリーは外角コースを中心に投球を組み立てるケースが一般的で、筒香に対する同コースへの被投球割合も例年55%前後となっている。外のボールを苦手としていたがために、全体の成績がなかなか上がらなかった。

 弱点を克服するために、この頃から筒香が盛んに口にしていたのが「逆方向へのバッティング」だった。するとその意識付けが実を結んだのか、14年には左方向への打球が安打となる確率は10%以上増加した。同年は外角打率でも.299と良化。無理に引っ張らずに逆方向へヒットを打てるようになったことで、課題を1つ乗り越えることにつながったのだろう。

 逆方向を意識したバッティングで打率は向上したものの、依然として課題は残った。それは“流し打ちは長打になりづらい”という事実だ。アベレージヒッターのように逆方向へ合わせるように打つことが多かった筒香だったが、長打率は平凡で、とりわけレフトへのホームランとなると15年までの通算で3本しかなかった。ところが44本塁打を記録した昨季は11本を逆方向へ放つなど、左方向への長打率が大きく向上した。レフト方向へのバッティングでもバットをしっかりと振り切る姿が増え、フライ性の打球がスタンドまで届くようになった。

■“ホームランコース”の拡大

 反対方向に強い打球を運ぶ技術を身につけたことで、ホームランを打てるコースも広がっている。14、15年の配球チャートを見ると、どちらかというと真ん中から内側のコースに本塁打になるポイントがあった。それが16年は外角に広がり、ストライクゾーンいっぱいのような厳しいコースまで本塁打にしている。被投球機会の多い外角に対する筒香の打撃は、確実に進化を見せている。

※データはすべて2017年3月7日時点

文:データスタジアム