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2016.10.18 15:37
高校通算本塁打はゼロ。大学で脱皮した遊撃手。狩野 行寿(平成国際大)
「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」
狩野 行寿 かりの・ゆきかず
川越工高→平成国際大
遊撃手・右投右打・180センチ80キロ・1994年7月31日生(22歳)
三遊間や二遊間に打球が飛ぶと狩野の見せ場だ。しっかりとした足さばきで追いつくと、そこから強肩を生かしたスローイングを見せ、打者走者をアウトにする。また、打撃でもツボを持っており、時には長打を放つパワーも備えている。
だが、川越工時代は埼玉大会4回戦が最高成績で高校通算本塁打はゼロ。「とにかく打撃に自信がありませんでした」と本人が語るように打順も2番や下位。そんな地味な選手を見いだしたのが平成国際大の大島義晴監督だった。
「高校生の時の打撃は“あちゃぁ・・・”って感じでしたよ(笑)でも、しっかり足を使った守備ができていましたし、肩も強かった。肩が強いということは体の力をしっかり腕に伝えられるということですからね。打撃は良くなると思いました」
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こうして狩野をスカウトすると、多くの実戦経験を積ませることに加え、好調時の映像を見せるなど打撃に自信を持たせることに心を砕いた。
狩野もそんな恩師の想いに応えようと打撃の意識を変えていく。自信のなさゆえに当てる打撃をしていたが、大島監督から「フルスイングをしろ」と言われると、その通りに振っていき感覚を掴んでいった。
そして2年の春、狩野は今まで気付いていなかった自らの能力を知ることになる。作新学院大戦で1試合3本塁打9打点の大暴れ。高校時代に1本の本塁打も無かった男が、コンプレックスから脱皮できた瞬間だった。さらに3年春には打率.378、2本塁打14打点をマークし、他校から恐れられる存在にまでなった。
最終学年の今年は主将に就任。経験の浅いチームで攻守の中心を務めることで負担は大きかったが、打撃に苦しむ一方でリーグトップの7盗塁を記録。守備時も大きな声を出し投手を鼓舞するなど、自らのできる限りのプレーでチームに献身を尽くした。
狩野を育て上げた大島監督は「年を重ねるごとに人間としても野球選手としても成長してくれました。4年間練習を一度も休まなかった頑丈な体に、足と肩。この天賦の才があるので、まだまだ伸びる選手です」と期待を込める。
恩師の愛情をたくさん詰め込まれた屈強な体とひたむきな姿勢で、次なる舞台でもさらなる成長を目指していく。
文・写真:高木遊
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