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偶然ではないDeNA10代大砲2人の出現 首脳陣が3か月前感じたブレイクの芽


DeNAに魅惑の若き大砲が現れた。それも、2人も。ラミレス監督が「2人は見ていて本当に楽しみ」と期待していたラミ・チルドレンによる競演はキャンプ地に衝撃を与え、スポーツ紙の1面を飾った細川は「ハマのカブレラ」などと取り上げられた。しかし、この春、彗星のように現れたかのような10代スラッガーだが、時を遡ること3か月前。球団首脳陣は、ブレイクの“芽”を秋から感じ取っていた。

■春に出現した18歳細川と19歳網谷、秋から予感していた球団首脳陣

 DeNAに魅惑の若き大砲が現れた。それも、2人も。13日に行われた阪神との練習試合(宜野座)。19歳の育成2年目・網谷圭将捕手が初回にバックスクリーンへ先制ソロを放つと、7回には18歳のドラフト5位ルーキー・細川成也外野手もバックスクリーンへ“プロ1号”。ラミレス監督が「2人は見ていて本当に楽しみ」と期待していたラミ・チルドレンによる競演はキャンプ地に衝撃を与え、スポーツ紙の1面を飾った細川は「ハマのカブレラ」などと取り上げられた。しかし、この春、彗星のように現れたかのような10代スラッガーだが、時を遡ること3か月前。球団首脳陣は、ブレイクの“芽”を秋から感じ取っていた。

 10月20日に行われたドラフト会議のこと。1位指名した明大・柳裕也を中日との抽選で外し、神奈川大・濱口遥大を入札。以降は育成1人を含む10選手を指名し、話題的にはどちらかという静かに終えていた。だが、球団幹部は手応えを感じていた。支配下選手9人を指名。これは5年ぶりのこと。「支配下の指名数は6~7人になるだろう」。ドラフト前、明かされていた球団の方針を上回る大量指名に、手応えの要因はあった。

 高田GMはドラフト会議を、このように総括している。

「本当は『野手は来年で』思っていた。だけど、3位以下に残っていると思ってなかったような高校生が残っていた。結果的に指名数が多くなった」

■ドラフトでまさかの幸運「下位でこれだけの選手が残っていることは多くない」

 それが3位の秀岳館・松尾大河であり、5位の細川だった。高く評価していた逸材が他球団のものになることなく、指名順が回ってきた。DeNAにとっては、まさかの幸運で方針を転換し、指名に踏み切った。

 細川は高校通算63発の長距離砲として鳴らした一方、投手としても最速146キロと類まれな身体能力を誇っていた。

 しかし、3年夏は2試合連発を放って茨城大会を勝ち進んだが、決勝で常総学院に0-1で惜敗。同じ北関東の作新学院・今井達也が夏の甲子園で大ブレイクしてドラフト1位に駆け上がったが、大舞台を踏むことができず。全国的に、その名が売れることはなかった。

 3年間、全国での実績はなし。まして、高校生で長距離砲の外野手という育成の難しさが、指名を敬遠した要因となった可能性もある。それでも、高田GMは「良いパワーヒッター。すごく可能性のある選手。下位でこれだけの選手が残っていることは多くないから」と言い切り、迷わずに指名。それほど高い期待感があったから、鮮烈デビューは球団にとって決して驚くべきことではないのだろう。

 高田GMから期待をかけられていたのが細川なら、ラミレス監督にポテンシャルを絶賛されていたのが網谷だ。

■ラミレス監督が秋季キャンプで絶賛していた背番号100「筒香のようになれる」

 ドラフトから13日後に始まった奄美キャンプ。1、2軍関係なく若手を中心に汗を流す秋季キャンプで、背番号100は指揮官の視線をクギ付けにした。

 千葉英和高から15年の育成ドラフト1位で入団した捕手は「筒香のような選手になれる素質がある。将来的に3割、30本、100打点を狙える」と指揮官から大絶賛され、打撃を生かすためサードのポジションにも挑戦。オフには台湾ウィンターリーグに派遣され、育成ながら異例の春季キャンプ1軍帯同が決まった。

 それだけの逸材ながら、昨年のシーズン中に名前が取り上げられなかったのは故障に泣いたから。2月の春季キャンプで左有鈎骨骨折を負い、半年を棒に振った。そのブランクを鑑みれば、万全の状態で臨んでいる今キャンプでのブレイクも細川同様、指揮官にとって驚きは少なかっただろう。当然、支配下登録も現実味を帯びてくる。

 ラミレス監督はキャンプ当初から2人について「(網谷は)19歳であれだけできるのは信じられないくらい、素晴らしい打撃をしている。(細川は)まだ18歳なのに、その年でのパワーは考えられないくらい桁違い」と絶賛していたのだから、今季初の対外試合でのアーチ競演も決して偶然ではなかった。

 もちろん、2人は10代で結果を残したのは1試合。当然、課題も多く出てくるだろう。それでも、球界では希少な右打ちのスラッガーの出現は、筒香に続く将来的な4番候補としておもしろい存在であることに違いない。豪快な2本のアーチから始まった飛躍へのストーリーを、球団もファンも楽しみにしている。

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