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地元紙がダルビッシュとレ軍前エースを比較 能力と“コスパ”で上なのは?


レンジャーズのダルビッシュ有投手がメジャー6年目のシーズンを迎える。今季終了後に6年契約が満了。オフにはフリーエージェントとなるだけに、右腕の去就は米国内でも開幕前から大きな注目を集めており、レンジャーズはシーズン終了前にも契約延長に動くと報じられている。

■引退を表明した左腕ウィルソンと比較、ダルビッシュの方が「優秀な投手」も…

 レンジャーズのダルビッシュ有投手がメジャー6年目のシーズンを迎える。今季終了後に6年契約が満了。オフにはフリーエージェントとなるだけに、右腕の去就は米国内でも開幕前から大きな注目を集めており、レンジャーズはシーズン終了前にも契約延長に動くと報じられている。

 では、ダルビッシュのここまで5年間の働きは実際にはどのような評価を受けているのか。地元紙「スターテレグラム」は、ダルビッシュと入れ替わりにFAでチームを去り、今月9日に現役引退が明らかになったばかりの元エース左腕C・J・ウィルソンと比較する特集を掲載している。

「今のところ、C・Jよりもユウの方が格段に良いというわけではない」とのタイトルがつけられた記事では、ウィルソンについて「自信過剰でビッグマウスだった」としながらも、「しかし、最終的に彼はユウ・ダルビッシュよりも金額に見合った選手だと分かった」と指摘。“コスパ”の面では元エースに軍配を上げている。

 ウィルソンは05年にレンジャーズでデビュー。当初は救援だったが、10年から先発ローテーションに定着し、33試合登板で15勝8敗、防御率3.35の好成績を収めてワールドシリーズ進出に貢献した。11年も34試合登板で16勝7敗、防御率2.94と活躍し、2年連続のワールドシリーズ進出にチームを牽引。初のオールスター出場も果たした。

 その年のオフにFAとなり、エンゼルスに移籍。レンジャーズは日本ハムからポスティングシステム(入札制度)でのメジャー移籍に踏み切ったダルビッシュを獲得した。

■「彼はウィルソン以上の才能を持つ投手だ。しかし…」

 ウィルソンは5年7750万ドル(約88億円)でエンゼルスと契約したが、記事では「レンジャーズはウィルソンを残留させることに本腰を入れなかった。彼らはユウ獲得のために資金が必要だったのだ。当時の彼はホンダ・アコード以来となる、日本からの最も偉大な”輸出”だった」としている。レンジャーズはダルビッシュの独占交渉権を5170万3411ドル(約59億円)で獲得し、6年6000万ドル(約68億円)で契約。ダルビッシュ獲得にかかった金額は、ウィルソンとエンゼルスの契約額を上回った。

 その後の2人の成績は、ウィルソンがエンゼルスで119試合に先発し、722 回1/3を投げて51勝35敗、防御率3.87。一方、ダルビッシュは100試合に先発し、645回2/3を投げて46勝30敗、防御率3.29となっている。ウィルソンは肩、ダルビッシュは肘を痛めて、ともに1シーズンの「全休」があった。

 記事では、ここまでの成績から、ダルビッシュについて「彼はウィルソン以上の才能を持つ投手だ。しかし、(年俸)3000万ドル(約34億円)以上の価値はない」と指摘。そして、「この投手”交換”により素晴らしい出来事が起こった。ウィルソンはお買い得品だったのだ。 ダルビッシュの全体的な成績はC・Jよりも格段に良いというわけではない」と“コスパ”ではウィルソンが上だったとの見解を示している。

■ダルビッシュに求められるプレーオフでの活躍

「数十年にわたり、レンジャーズでは優秀な選手が素晴らしい活躍を見せてきたが、C・Jは最も評価されていない選手のひとりである。プレーオフの彼は酷かった。しかし、彼が球団を去ってから、レンジャーズはワールドシリーズに到達したことがない」

 ウィルソンはプレーオフに弱く、それが「レンジャーズがC・Jから距離を取りたがった理由」だというが、レギュラーシーズンではエースとしてローテーションを牽引した。一方、ダルビッシュも昨年の地区シリーズでブルージェイズ相手に4本塁打を浴びて敗戦投手となるなど、プレーオフで結果を残せていない。

「C・Jは36歳であるのに対し、ユウは30歳だ。彼らの投球を見たことがある野球ファンは、ウィルソンはダルビッシュと同じくらい才能がある、優秀だ、とは言わないだろう。レンジャーズ、そしてファンの両者とも、C・Jよりもダルビッシュに期待していた。我々は彼の方が優秀な投手であることを知っているのだ」

 投手としての純粋な能力は、確実にダルビッシュの方が上だとしながらも、同紙は「ユウは支配的であるが、C・Jより僅かに優秀な投手だ」と結論づけている。ダルビッシュが前エースとの違いを作るためには、復帰2年目の今季はレギュラーシーズンはもちろん、プレーオフでの投球も重要となってくるだろう。現時点でもレンジャーズがダルビッシュとの再契約に動く可能性は高そうだが、絶対的な存在感を示すことを球団もファンも期待しているようだ。

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