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プロ野球

2016年シーズンのNPBルーキー選手たち

一軍では、述べ33投手がマウンドを経験し、24人の野手が打席に立った今季のルーキーたち。2016年のドラフト会議の前に、その活躍ぶりを振り返ってみよう。

■即戦力ぞろいだった大学卒のルーキーたち

例年よりも“豊作”だったといえる大学卒の野手。その中でも際立ったのは、パ・リーグ新人王候補にも挙げられる楽天・茂木栄五郎(早稲田大)だ。開幕前のオープン戦から、自身のキャリアでも経験の少ない遊撃のポジションで起用されると、故障離脱の時期を除きレギュラーとして名を連ね続けた。また、セ・リーグの新人王候補・高山俊(明治大)は、阪神の球団新人記録となる136安打を放つ活躍。さらに2ケタ本塁打を記録したオリックス・吉田正尚(青山学院大)も加え、大学日本代表のクリーンアップを務めた3人が、NPBでも実力を発揮した。さらに同代表キャプテンを務めた阪神・坂本誠志郎(明治大)は終盤戦でスタメンマスクを多く経験。粒ぞろいだった内野陣もオリックス・大城滉二(立教大)やDeNA・柴田竜拓(国学院大)、日本ハム・横尾俊建(慶應大)など多くの選手が一軍デビューを果たしている。また昨年のドラフト直前に“隠し玉”と報道され、西武7位指名を受けた呉念庭(第一工業大)が多くの出場機会を獲得。ほぼ無名からの成り上がりとしては、今季一番の出世頭だったといえるだろう。
投手でもDeNAの左腕・今永昇太(駒澤大)は、8勝を挙げるなどチームのAクラス入りに大きく貢献した。同様に先発として台頭した選手としては、西武・多和田真三郎(富士大)や広島・岡田明丈(大阪商業大)、阪神・青柳晃洋(帝京大)が挙げられるだろう。特に多和田は、8月以降に2度の完投勝利(うち1度は完封)を挙げるなど来季はさらなる飛躍に期待だ。また主にリリーフとして出番を得たのは、DeNA・熊原健人(仙台大)と日本ハム・井口和朋(東農大オホーツク)の2人。ともに力のある速球が魅力で、三振を取れる球種を持つだけに今後の起用法にも注目したい。
一方で期待に添う活躍を見せられなかった選手もいる。ドラフト1位で入団したヤクルト・原樹理(東洋大)や巨人・桜井俊貴(立命館大)、日本ハム・上原健太(明治大)はそれぞれ故障や不調に泣いたが、来季以降の活躍に期待したい。

■チームの泣き所を救った社会人出のルーキー

次に社会人出身の選手に目を移すと、チームのウイークポイントとされたところで個性を発揮した選手が多かった。チームの左腕不足に応えたのが日本ハム・加藤貴之(新日鉄住金かずさマジック)や中日・福敬登(JR九州)、西武・野田昇吾(西濃運輸)といった面々だ。特に加藤は、開幕当初は救援を務めたが、シーズン途中に先発へと転向。その後はローテーションの一員として日本ハムの快進撃を支えた。
野手では戸柱恭孝(NTT西日本)が、ここ数年はレギュラー捕手を固定できなかったDeNAのセンターラインに安定感をもたらした。また、正捕手・嶋の離脱時を支えた楽天・足立祐一(パナソニック)や、内野のユーティリティーとして広島で貴重な存在となった西川龍馬(王子)は、チームへの貢献度が高かったといえるだろう。

■今後が期待される高校卒の選手たち

高校卒の選手では、それぞれドラフト1位のロッテ・平沢大河(仙台育英高)と楽天・オコエ瑠偉(関東第一高)が、ともに一軍の打率1割台でプロの壁に苦しむなど課題の多いルーキーイヤーだった。来季の飛躍に期待したい。
投手では中日・小笠原慎之介(東海大相模高)と阪神・望月惇志(横浜創学館高)が一軍のマウンドを経験。小笠原は今季2勝を挙げるなど、経験したものを来季以降につなげたいところだろう。

そして、20日には2016年のドラフト会議が行われる。今や遅しと指名を待つ“来季のルーキー”たち。彼らは一体どのチームで、どのような活躍を見せてくれるのだろうか。

※データは全て2016年10月11日終了時点