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大学野球

野手転向1年目の有望株 恩師は「ジーターになれ」とエール
城田一哉(平成国際大→山岸ロジスターズ)

 まだ無名の存在だが、野手に本格転向して1年でチームの4番を打ち関甲新学生リーグのベストナインを獲得。走攻守三拍子揃った高い能力で躍動する姿にはスター性が漂う。

城田一哉(平成国際大→山岸ロジスターズ)
城田一哉(しろた・かずや)
出身地: 東京都昭島市
球歴:成隣小学校軟式野球部)→昭島ボーイズ(硬式)→桐生第一高→平成国際大→山岸ロジスターズ
身長・体重(ポジション):183cm・79kg(外野手/右投右打)
獲得タイトル:2016年関甲新学生秋季リーグ・ベストナイン

★故障が転機になり野手転向

 中学時代は、主に遊撃手だったが、投手としての能力を見込まれ、群馬県の名門・桐生第一に野球留学。だがここでも野手での起用が主で、最後の夏のみ背番号「1」を背負ったが、3回戦でその春のセンバツ4強だった健大高崎に敗れ、甲子園とは縁が無かった。
 当時から「“投げて、打って、走って、守ってというのが野球”って感じで野手の方が好きだったんです」と話すが、平成国際大も投手としての能力を買われて入学。高い素質であることは変わりなく、下級生時代は最速143km/hのストレートとフォークを武器に佐野泰雄投手(現西武)に次ぐ2回戦を任されていた。
 だが、大学2年の秋のリーグ戦中に右ヒジの靭帯を痛め、トミー・ジョン手術(肘内側側副靭帯再建手術)を行った。もう1度マウンドに戻れることも考えたが、大島義晴監督と相談し、野手転向を決めた。これが大きな転機となった。
 長身を生かした長いスライドを生かし50m走は6秒フラット、遠投は110m近く投げる身体能力が、マウンドという狭いスペースから解き放たれるとともに開花。4年秋にはチームの4番を任されまでとなった。

★新設チームで目指す2年後のプロ入り

 そんな城田は、今季から静岡県島田市の運送会社・山岸運送に入社し、同社が母体となって新設されたクラブチーム「山岸ロジスターズ」に加入する。
 4年春に打撃の調子を落とし、代走や守備固めの起用が中心となってしまい、野球を辞め一般企業への就職活動も行っていたが、夏の駒澤大とのオープン戦で運命を変えた。
 同チームの天野義明監督が駒澤大OBということもあり、その試合を視察していた。そして、その試合での活躍が天野監督の目に留まり、スカウトされた。社会人では、外野手に加え遊撃手転向も視野に入れる。
「大学では大島監督から社会に通用する人間にさせてもらい、田中(千晴)コーチには“1球の厳しさ”を教えてもらいました。社会人では、泥臭くてもいいから塁に出て、かき回していきたいです」と城田は感謝と決意を語る。
 また大島監督は「右に打つのも上手いですし、渋い打撃もできます。デレク・ジーターみたいな選手になって欲しいです」とエールを送った。
 まずは社会人野球での活躍を目指すが、その先の未来図もしっかりと描いている。「プロ野球を目指します。同期の狩野(行寿/DeNA)に負けたくない気持ちがあります」と視線をぶらさずに言い切った。
 遠回りしながらも見つけた自分の道を切り拓き、城田はライバルの待つ世界を目指していく。

文・写真=高木遊
プレー写真提供=平成国際大学硬式野球部