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なるか、史上初の“甲子園早慶戦”? 27日発表センバツ当落線で要注目


第89回センバツ高校野球大会の出場32校は27日に日本高野連から発表される。選手にとっても、ファンにとっても、待ち遠しい運命の日。今年、最も当落が注目されている学校の一つが、慶応(神奈川)だ。

■カギ握る慶応の出場可否、8年ぶり甲子園早慶そろい踏みなるか

 第89回センバツ高校野球大会の出場32校は27日に日本高野連から発表される。昨秋の秋季大会の成績をもとに21世紀枠3校を含め、32校が選出される。地方大会を勝ち抜けば出場権を得られる夏とは違って、文字通り「選抜」される春は当落線上で悲喜こもごものドラマが起こる。選手にとっても、ファンにとっても、待ち遠しい運命の日。今年、最も当落が注目されている学校の一つが、慶応(神奈川)だ。

 慶応が該当する関東から出場は最大5枠。通常の4枠に加え、1枠の東京と合わせた「関東・東京」からもう1校、出場枠が与えられる。慶応は昨秋の関東大会8強。関東4枠は同大会4強進出校が当確で、昨秋の東京大会2位の日大三と「関東・東京」の最後の1枠を争う構図と予想される。

 もし、出場権を獲得した場合、大きな話題を呼びそうなのが「早慶同時出場」である。

 早実(東京)が昨秋の東京大会で優勝。4年ぶりのセンバツ出場に当確ランプをともした。そして、慶応が8年ぶりの出場を果たせば、当時以来の「早慶同時出場」となるわけだ。

 言わずと知れた早稲田大学、慶応大学系の高校。プロ野球より長い歴史を誇る東京六大学では、ライバルとして大学野球の聖地・神宮でしのぎを削る。学校を挙げた一大イベントとなる「華の早慶戦」は毎年のように3万人を動員。その“弟分”たちが、高校野球の聖地・甲子園に同時出場となれば、なんとも夢のある話だ。

■1956年夏に王さんが経験…同時出場は過去2度だけ

 早実は通算49度(春20度、夏29度)、慶応は同25度(春8度、夏17度)、甲子園に出場しているが、歴史をひも解くと、2度だけ同時出場が実現している。

 1度目は1956年夏、早実は1年生の外野手兼投手・王貞治(現ソフトバンク球団会長)を擁して臨んだが、2回戦で岐阜商(岐阜)に1-8で敗戦。慶応は初戦の2回戦で仙台二(宮城)に3-4で逆転負けを喫している。

 2度目は2009年春、早実は準々決勝で利府(宮城)に4-5で逆転負け。エース・白村明弘(現日本ハム)を擁した慶応は1回戦で開星(島根)に1-4で敗れた。

 特に2009年は甲子園では53年ぶりの同時出場となり、大きな話題を呼んだことを記憶するファンも多いかもしれない。そして、今年は当時から8年ぶりとなる早慶そろい踏み実現に期待が高まっている。

 もちろん、話題性があるからといって、簡単に出場権を得られるわけではない。

■神宮の名歌「紺碧の空」「若き血」は甲子園に響くのか

 慶応は昨秋の関東大会で前橋育英(群馬)に3-4でサヨナラ負けこそしたが、準々決勝では唯一の1点差負け。関東5番手の最有力候補とみられている一方、東京大会決勝で早実に6-8で敗れたライバルの日大三も9回まで2点リードの大接戦を演じていた。

 早実がその後、明治神宮大会で準優勝を果たしたことを考えると、成績面では日大三が優位に立つ可能性もある。あとは出場となれば東京から2校となる日大三、ほかに有力校がなく神奈川から1校となる慶応という地域性がどう作用するか。これが両校にとって出場権を左右するポイントとなるかもしれない。

 とはいえ、慶応は神奈川屈指のスラッガー・正木智也を擁し、早実には言わずと知れた怪物・清宮幸太郎がいる。センバツに出場すれば、全国で恥じない戦いが期待できる上に、何かと話題性のある出来事を振りまく清宮がいるだけに、初の「甲子園早慶戦」がいきなり実現しても不思議ではない。

 両校の有名な応援歌といえば、早稲田の「紺碧の空」と慶応の「若き血」。両校は練習試合で定期戦を行っているが、果たして甲子園のグラウンドを隔てたアルプス席から神宮の名歌が響くことがあるのか。そんな楽しみも、すべては27日の発表次第。同日午後3時過ぎには、出場校の名前が告げられる。

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