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「平成最初と最後の日本一」目指す近大が佐藤輝明の一発などで初戦突破【明治神宮大会1回戦 近畿大-筑波大】

互いに12年ぶり出場となった一戦は近畿大が接戦の末、筑波大を2対1で下した。序盤は近畿大・小寺兼功(4年・岡山理大付)と村木文哉(2年・静岡)の投手戦となったが、4回裏に4番・佐藤輝明(2年・仁川学院)の本塁打で先制。7回裏には中家健登(4年・近大付)の犠飛で追加点を挙げ、最後は2番手の村西良太(3年・津名)が筑波大の反撃を振り切った。

主砲・佐藤(右)の一振りで近畿大が試合の流れを掴んだ


 均衡を破ったのは侍ジャパン大学代表の一打だった。0対0の同点で迎えた4回裏、先頭打者で打席に立った佐藤は1ボール2ストライクから外角のストレートを強く振り抜き、レフトの頭上を超える先制の本塁打を放った。

 この打席で佐藤は1ストライクからの2球目で村木の投じたフォークを豪快に空振りしている。この反応を見て村木は「2ストライクから外のストレートで一球外れたのでそろそろフォークを狙ってくるだろう」と思ってあえてストレートを選択した。

 この時に佐藤の頭にもフォークが投げてくるという意識はあったが、「フォークがよかったので低めは捨てる」と決めて、少し高めに入ったストレートをフルスイング。しかし、「あのカウントで真っすぐをフルスイングできないだろう」という村木の思惑とは裏腹に、佐藤は追い込まれるまでと変わらぬスイングでフェンスの向こうまで打球を飛ばしてみせた。

 ハーレム・ベースボールウィークで侍ジャパン大学代表のスタッフとして帯同していた筑波大の川村卓監督は「あの時よりも粗さがなくなっていた」と佐藤の成長を認める。佐藤自身も「リーグ戦での三振が減っている」と手応えを感じており、今秋は関西学生リーグで自己最高の打率.354を記録した。

 平成元年に春秋の全国大会を制している近畿大は、平成最後の全国大会で日本一になることを強く意識している。田中秀昌監督は「平成最後の日本一」という言葉をミーティングで毎日のように投げかけ、練習メニューを記入するホワイトボードにまで記しているそうだ。平成で最初と最後の日本一を目指す近畿大の快進撃から目が離せない。

◎筑波大・川村卓監督
「もう少し早く点数を取りたかったなと思います。何回かチャンスがありながら生かせなかったです。小寺君の球を絞り切れずに上手くかわされた感じがします。いつもはあっさり終わることが多いのですが、最終回は繋いでくれて、凄く成長したなと感じながら見ていました。本当に嬉しかったです」

★第49回明治神宮野球大会1回戦
筑波大000000001=1
近畿大00010010X=2
【筑】●村木、加藤-島
【近】○小寺、村西-井町

文・写真=馬場遼