- 大学野球
2018.10.18 06:55
攻守で成長続ける優勝請負人 太田光(大阪商業大)
「時は来た!ドラフト指名を待つ男たち」
「たとえいくら肩が強くても、チームが負けてしまっては捕手の役割を果たしたとは言えないと僕は思います」と話す。その信念を高校・大学と貫き続けてきたと曇りなく言えるほど実績十分で、ことごとくチームに優勝をもたらしてきた。
広陵高では「主将・捕手・4番打者」という大黒柱として広島大会を優勝。名門を4年ぶりの夏の甲子園出場に導いた。
大商大でも1年春からスタメンマスクを被ると、打率こそ1割台だったものの、守備と好リードで防御率1.50と投手陣を盛り立て、チームを24年ぶりの大学選手権出場に導く大活躍を見せた。さらに大学選手権でも、打率.333の高打率と、先輩投手たちを好投に導くリードで8強入りに貢献した。捕ってから速い身のこなしと強肩で、当時から二塁送球は2秒を切っていた。
さらに打撃も多くの場数を踏むことで成長を遂げた。3年春から上半身と下半身を連動させて、バットのしなりを生かした打ち方に取り組むと確実性が向上。秋に打率.361を記録して明治神宮大会出場に貢献した。さらに春には打率.522を記録して首位打者と自身4度目のベストナインを獲得した。
そして、自身3度目となった全日本大学野球選手権では初戦の天理大戦で逆方向の右中間へ2本の二塁打を放ち、前年に破れた相手に10対0の5回コールド勝ちで雪辱を果たした。また、この打撃には楽天の仁村徹スカウト部副部長が「逆方向へ打とうとしても、バットのヘッドが下がらずスイングしていて軌道が良いですね」と評価するなど、ネット裏に集まったスカウト陣にも大きなアピールを果たす結果となった。
こうした豊富な経験で「すべての面で成長を続けることができました」と太田は4年間の手ごたえを語る。また、「チームを勝たせる」という意味では、大学ナンバーワンの実績を重ねた。
ロッテの永野吉成チーフスカウトは「送球は捕ってからが速いし捕球も問題ない。チームを勝たせるということは、配球の軸や人の心を乗せる術があるということでしょう」と、プレー面に加えて高い人間力にも今後の期待をかけた。
捕手としての総合力の高さは誰もが認めるところ。嶋基宏(楽天)のようにあらゆる面でチームを牽引していく資質が太田にはありそうだ。
文・写真=高木遊