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仰天オーダー&奇抜采配でハム10年ぶり日本一 2016年“栗山マジック”10選


日本ハムの栗山英樹監督は就任5年目の今季、悲願の日本一に輝いた。6月下旬で首位・ソフトバンクと最大11.5ゲーム差あったが、球団新記録の15連勝など驚異的な巻き返しを見せた。周囲が仰天するオーダー、奇抜な采配を駆使して大逆転でリーグ優勝。ポストシーズンでも、その手腕は健在だった。

■“リアル二刀流“、1番抜擢、クローザー起用…大谷の力を引き出した名采配

 日本ハムの栗山英樹監督は就任5年目の今季、悲願の日本一に輝いた。6月下旬で首位・ソフトバンクと最大11.5ゲーム差あったが、球団新記録の15連勝など驚異的な巻き返しを見せた。周囲が仰天するオーダー、奇抜な采配を駆使して大逆転でリーグ優勝。ポストシーズンでも、その手腕は健在だった。

 フルカウント編集部では栗山監督の名采配をピックアップ。10年ぶりに日本シリーズを制覇した今季を振り返る。

◯大谷翔平の“リアル二刀流”

 5月29日の楽天戦(コボスタ宮城)から先発登板試合は6週連続で“リアル二刀流”で起用。さらに、天王山となった9月21日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)でも「8番・投手」で先発させた。大谷はレギュラーシーズンでは投手で7戦7勝、防御率0.33。打撃は21打数8安打の打率.381、1本塁打、4打点を記録した。ソフトバンクとのCSファイナルでは投手で1勝1セーブ、防御率0.00。打撃では6打数2安打の打率.333。広島との日本シリーズ第1戦(マツダ)で6回5安打3失点で不敗神話が崩れたものの、22歳は二刀流で高いパフォーマンスを見せつけた。

◯大谷翔平の1番起用

 7月3日のソフトバンク戦(ヤフオクD)で、先発投手の大谷を1番打者として起用。史上初となる投手先頭打者弾、8回5安打無失点の好投を演出した。チームは同11日のオリックス戦(京セラドーム大阪)まで球団新記録の15連勝を飾った。

■増井の先発転向は大当たり

◯大谷翔平の守護神起用

 10月16日のソフトバンクとのCSファイナル第5戦(札幌ドーム)で「3番・指名打者」で先発出場していた大谷を3点リードの9回から救援として投入。右腕は日本最速165キロを連発し、4年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

◯大谷翔平のネクスト待機

 10月29日の日本シリーズ第6戦(マツダスタジアム)、同点の8回2死満塁。中田の打席で第7戦で先発予定だった大谷をネクストバッターズサークルへ送った。マウンド上のジャクソンは制球を乱し、中田は決勝押し出し四球。チームは10年ぶりの日本一に輝いた。

◯中田翔スタメン外し

 6月27日の西武戦(札幌ドーム)、2点差の7回2死一、二塁で不動の4番に代打・矢野を送った。中田は打席前まで6回無死二塁で見逃し三振に倒れるなど3打数無安打。中田への代打は消化試合だった14年10月2日の西武戦(西武D)以来で、12年の監督就任以降、故障以外で4番から外したことはなかった。中田はその後の2試合でスタメンから外れ、欠場した。チームは今季初の5連勝、その後の球団新記録の15連勝へつなげた。

◯守護神・増井浩俊の先発転向

 昨季球団タイ記録の39セーブをマークした増井が、今季は6月まで防御率6.30と不振。すると、7月上旬から先発転向させた。増井は先発3試合目の8月18日オリックス戦(札幌ドーム)から7戦全勝。栗山監督は守護神にはマーティンを起用し、大逆転Vの欠かせない戦力とした。

■助っ人右腕は“マルチ采配”で力を引き出す

◯レアードの下位起用

 昨季チームトップの34本塁打と長打力を発揮したレアードを先発時の打順は5番10試合、6番84試合、7番45試合、8番4試合と主に下位で起用。本来の思い切った打撃を引き出された助っ人は、39本塁打で初の本塁打王に輝いた。

◯高梨裕稔&加藤貴之の先発抜擢

 開幕は中継ぎスタートだった高梨を6月8日の広島戦(札幌ドーム)から先発へ。大谷が負傷して先発ローテを外れると、ドラフト2位の加藤を先発へ回した。後半戦は先発の軸と期待した有原航平、吉川光夫(現巨人)が勝ち星を伸ばせなかったが、高梨は10勝3敗、防御率2.38で新人王を獲得。加藤も7勝3敗、防御率3.45と好成績を残した。

◯短期決戦での用兵

 10月16日のソフトバンクとのCSファイナル第5戦(札幌ドーム)、第4戦まで13打席連続無安打のベテラン・田中賢介をスタメンから外し、杉谷拳士を「2番・二塁」で起用した。ムードメーカーは3点を追う3回2死二塁で適時打を放ち、反撃の狼煙。さらに、2点を追う4回1死満塁では正捕手の大野奨太に代打・岡大海を送って同点の2点二塁打を演出した。

◯バースの“マルチ起用”

 来日1年目の助っ人を先発14試合、救援23試合とチーム状況に応じて起用。レギュラーシーズンでは8勝8敗6ホールド、防御率3.65だったバースだが、広島との日本シリーズではすべて救援でマウンドに送った結果、1人で3勝を挙げて優秀選手賞を獲得した。

 2017年シーズンは球団史上初の日本一連覇がかかっている。新たな“栗山マジック”が生まれるか注目だ。

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