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7点差逆転に雨の悲運も 熱戦続いた2016年甲子園、心に残る10試合は?


春は智弁学園(奈良)が初優勝。夏は作新学院(栃木)が54年ぶりの頂点に立った今年の甲子園。名場面も多く生まれた。感動あり、劇的な幕切れあり、と印

■全79試合、春は智弁学園が初、夏は作新学院が54年ぶりV

 春は智弁学園(奈良)が初優勝。夏は作新学院(栃木)が54年ぶりの頂点に立った今年の甲子園。名場面も多く生まれた。感動あり、劇的な幕切れあり、と印象に残った試合も多かった。春夏全79試合の中から編集部がピックアップした10試合を紹介する。

〇10位 夏1回戦 鳴門(徳島)3-2佐久長聖(長野)
3年連続甲子園の先発マウンド

 鳴門のエース左腕・河野竜聖投手が1年夏から3年続けて、甲子園のマウンドで先発する偉業。1、2年時は初戦敗退だったが、佐久長聖戦で2失点完投勝利を挙げた。兄・祐斗さんも同校の主将だった。鳴門はベスト8まで進出した。

〇9位 春1回戦 釜石(岩手)2-1小豆島(香川)
初出場21世紀枠対決

 センバツには3校が21世紀枠で出場するが、そのうちの注目2校が初戦で激突。接戦となったが釜石が8回まで2-0とリード。小豆島も9回に連打で1点を返し、スタンドのボルテージは最高潮になったが、及ばなかった。夏は両校とも出場することはできなかった。

■ノーヒッターペースから、あと1球から……サヨナラ負け

〇8位 夏1回戦 広島新庄(広島)2-1関東一(東東京)
広島新庄・堀が延長12回を177球完投勝利

 後に日本ハムにドラフト1位で指名されるエース左腕の堀が強豪の関東一戦で先発。立ち上がりが悪く、1点を失ったが、2回以降は1点も与えず。試合は延長に入り、12回に勝ち越し。相手は継投したが、堀は1人で投げ抜いた。12回を177球、7安打1失点。なお2回戦は90球で完投した。

〇7位 夏1回戦 富山第一(富山)1-0中越(新潟)
ノーヒットノーランペースからサヨナラ負け

 隣県対決となったこの試合。中越のエース左腕・今村は相手打線を完璧に封じた。味方の援護がなく、試合は9回表まで両軍無得点。今村は9回裏のマウンドに上がったが、1死から初安打となる二塁打を打たれると、続く打者にも二塁打を浴び、2安打でサヨナラ負けを喫してしまった。

〇6位 春準々決勝 秀岳館(熊本)2-1木更津総合(千葉)
木更津総合・早川 あと1球からサヨナラ負け

 好投手の木更津総合の早川が強力・秀岳館打線を封じ込み、試合は9回まで1-0とリード。迎えた9回2死三塁。フルカウントから、内角低めへズドン。ギリギリのコースに決まったかのように見えたが、見逃し三振ではなく、四球に。ボールの判定に気持ちが切り替えられず、そこからつかまり、サヨナラ負け。1球の怖さを知った。

■2度の降雨中断が流れ分けたのちのドラ1対決

〇5位 夏2回戦 履正社(大阪)5-1横浜(神奈川)
V候補同士の激突 雨に泣いた横浜

 優勝候補が2回戦でいきなり激突し、大注目のカードとなった。のちのヤクルト1位の寺島と楽天1位の藤平がエースの両校。二人の投げ合いが予想されたが、藤平は先発せずにリリーフ登板。2回に履正社の攻撃中に2度の降雨中断。再開後、2度とも履正社が得点し、流れをつかみ、勝利した。3回以降は藤平、寺島の投げ合いで両軍無得点だった。雨が試合に大きく関係した試合となった。

〇4位 夏2回戦 東邦(愛知)10-9八戸学院光星(青森)
観衆を味方につけた東邦が最終回に5点差を逆転

 東邦は4-9と5点ビハインドで迎えた最終回に打線がつながり、じわりじわりと点差を縮めていった。すると、次第に応援席以外のファンも東邦を応援する空気となってタオルを回し始め、場内は異様なムードとなった。相手エース・桜井はのみこまれ、東邦は7回の攻撃時点であった7点差を一気に逆転してしまった。

〇3位 夏準決勝 北海(南北海道)4-3秀岳館(熊本)
北海のエース・大西が4連続完投劇で人気急上昇

 エースの大西は初戦から一人で投げ抜いてきた。相手は強豪の秀岳館打線だったが、緻密なコントロールで仕留めていった。4-0の7回からじわりと1点差まで攻められたが、最後は意地で完投勝利。126球の完投劇だった。次の決勝戦では球に切れがなく、準優勝に終わったが、マウンドで表情を変えないV6・岡田准一似の甘いマスクが視線を集めた。卒業後は東京六大学・慶大に推薦合格している。

〇2位 春決勝 智弁学園(奈良)2-1高松商(香川)
村上が最初から最後まで主役の座

 準決勝に続き、決勝もサヨナラ勝利で優勝を決めた。エースの村上は5試合を669球を一人で投げ抜いた。大会1日目の開幕戦に投げたのが村上なら、決勝でサヨナラタイムリーを打ったのも村上だったという、まさに大会通じての活躍。初優勝をもたらした。

〇1位 決勝 作新学院(栃木)7-1北海(南北海道)
エース・今井&4番・入江が大活躍で54年ぶりV

 のちに西武ドラフト1位となる作新学院のエース・今井が底力を発揮。試合の終盤でも152キロの球速を記録するなど、話題を集めた。また、この大会は4番の入江が準々決勝まで3試合連続本塁打するなど、チーム一丸となり、若き知将・小針監督に優勝を捧げた。

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